はみだし者の登場人物
「ラブ、デス+ロボット」に登場するキャラクターは、圧倒的に社会のマイノリティが多い。怪物や悪魔、世間に受け入れられ難い存在で、映画ではヴィラン(悪役)のようなキャラクターばかりだ。
血に飢えた恐ろしい魔物、キツネの妖怪、謎の芸術家。世間では隅っこに追いやられることが多い曲者に焦点が当たっている。注目を浴びたい、主人公になりたい…という欲求を持つ、コミュニティに馴染めない者を肯定しているようなメッセージを感じる。
「恐怖」こそが原動力で、それに立ち向かう強さを見せつけられる「ソニーの切り札」、輪廻転生を表しているかのような「目撃者」、謎のアーティストの満たされることのない欲求を描いた「ジーマ・ブルー」。3体の変てこなロボットの人間の行く末を予言する「ロボット・トリオ」は、まるで社会に問題提起をしているかのようで、不気味さを覚える。
それぞれの物語に儚さを感じ、感覚的に引き込まれる理由は、ストーリーだけではなく目や耳で体感させられるから。
映画、アニメ、漫画をうまく融合させ、アクション、ミステリー、アダルト、サスペンスなどの様々な要素により構成されている「ラブ、デス+ロボット」は、むしろアートと呼ばざるを得ないほど、極めて非言語に近いエンターテイメントだ。
いつの時代も人間を支配する愛と死。そして、未来を象徴するロボット。人間の普遍的な欲望が描かれ、近未来の私たちを先見しているかのような「ラブ、デス+ロボット」は、近い将来に現実に起こってしまわないかとぞっとしてしまう。
1話30分程度のドラマも数多くある中、それらよりも更に短い5〜20分の作品が集められた本作を隙間時間に観ようとすると、面食らうことになる。連続で観るには頭の整理が追いつかないだろう。
ネットフリックスは私たちに、見たこともないものを見せてくれた。「ラブ、デス+ロボット」は、あなたを五感で興奮させてくれるはずだ。