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2019.05.13 06:30

今後、必要なのは学生のコミュニティ。福岡がスタートアップ都市になるための課題と展望


福岡の学生が起爆剤に

「起業」が一般的になった今でこそ若手の起業家が増えてはきているが、そもそも母数も少なく、まだ表に出てきていないシード期の企業と出会い、支援していくことは簡単なことではない。それが人口の母数がそもそも小さい地方であればなおさらだ。

そのためにまず起業家の母数を生み出していこうとスタートしたのが「TORYUMON」だ。ゲストスピーカーによる講演だけでなく、九州の学生に対象を絞り、学生起業家やこれから起業を考えている学生が投資家向けにピッチを行うというもの。毎回200名近く参加するイベントまで成長し、イベントをきっかけに資金調達に成功した事例がいくつもあるという。

「学生が一番起業しやすい。就職もしていないし、(扶養する)家族もいない。学生は一番リスクなく起業できます。しかも福岡は、政令指定都市の中で若者の増加率が最も高いんです。福岡での起業ムーブメントの起爆剤になるのは学生だと思い、学生限定のスタートアップイベントを企画することになりました」(両角)

過去には、高校生の起業家がその場で1000万円規模の出資が決まったケースも。イベントの運営はすべて学生が主導しており、5回目の開催で確かな盛り上がりを感じているという。


2019年2月に東京・日比谷で開催された「TORYUMON TOKYO」


スタートアップの課題を、VCが解決していく

ベンチャー企業にとってますます魅力的な街になりつつある福岡だが、課題点も多く残っている。

上の世代の先輩起業家が少ないことがその一つだ。起業家にとって、起業からエグジット(M&AやIPO)までを最短距離で会社を成長させていくことは極めて重要であり、実際にエグジットまでを経験した先輩起業家のノウハウや経験は非常に貴重なもの。しかし福岡にはエグジットまでを経験した先輩起業家がまだまだ少なく、東京まで会いに行くか、B Dash Campなどでの合宿系イベントの機会を利用するしかない。

また、エグジットの選択肢、つまり『買ってくれる出口』が少ないことも福岡のスタートアップにとって大きな課題だ。東京であれば、IPOだけでなく、大手企業によるM&Aも活発になっている。現在は、福岡の事業会社の一部でコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の組成や、各企業内でイノベーション推進室のような部署を設置するなどの動きもあるが、まだまだ遅く、3年前の東京といったイメージだという。
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文=大木一真 写真=小田駿一

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