ただし、中国は今後も、国内のエネルギー需要を満たすために依然として、石炭に頼ることになる(一帯一路構想で示す野心的な計画とは矛盾していると言えそうだ)。
再生可能エネルギーで自国の経済成長を維持したい中国は、一方では860ギガワット規模の石炭火力発電所を稼働させている。そして、そうした発電所の多くは、新設されたものだ。つまり、これから何十年間にもわたって稼動し続けるということだ。
さらに、米国の非政府組織(NGO)、グローバル・エナジー・モニターのアナリストらによれば、中国は一帯一路構想の下で各国が新たに建設する石炭火力発電所の4分の1について、資金調達の面で関与している。
中国が2014~17年に発電所の建設向けに拠出した510億ドルのうち、36%は石炭発電所に割り当てられた。風力・太陽光発電所向けの拠出は、合わせて11%だったという。
国際的な研究機関である世界資源研究所(WRI)は、中国が「環境に優しい一帯一路構想」に貢献したいのであれば、同国の銀行も投資ファンドも、各国の低炭素発電に対する資金援助に力を入れるべきだと指摘する。
自国の成長をどのように促進させるかについて、そして他国をいかに支援するかについての中国の決断は、世界の温室効果ガスの排出量に影響を及ぼすものとなる。自国製品の市場拡大を強く願っていること、再生可能エネルギー分野には成長が見込まれることを考えれば、中国が決断すべきことが何かは明らかなはずだ。