「一帯一路」構想として知られる最も野心的なプロジェクトの下、中国はアジアからアフリカ、中東、欧州までをつなぐ鉄道と高速道路、パイプラインを建設し、広範なネットワークを構築しようとしている。
この構想については、「侵略的な中国を象徴するもの」「貧困国にとっての銀行の役割を果たすことで、世界に影響力を及ぼそうとするもの」といった見方がある。一方では、これは中国が自国のモノとサービスの市場を拡大する機会を生み出すものであり、その他の資本主義経済国と同じことをしているだけと見る向きもある。
一帯一路構想の参加国の国内総生産(GDP)と人口の合計は、それぞれ世界全体の30%、44%を占める。構想には複雑な力が働き、資金へのアクセス、市場が求める新たなエネルギー源などの要素も絡む。 そしてそれらは全て、中国にとって都合が良いものになっている。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)によれば、一帯一路の参加国のインフラ需要を満たすには、各国が現在までに資金援助を通じて確保している金額では約21兆ドル(約2300兆円)が不足している。
また、トランプ大統領が気候科学における“一般的な”見解を否定していることも、各国の再生可能エネルギー事業に伴う資金需要に関して、中国の立場を有利なものにしている。
中国の矛盾
国際エネルギー機関(IEA)によると、世界で新たに建設される風力発電所と太陽光発電所の3分の1は中国にある。また、世界の電気自動車(EV)向け投資の40%以上が、中国によるものとなっている。
米国というリーダー不在の中で、中国は太陽電池パネルや水力発電の関連事業にすでに数十億ドルを投資。これらの分野において、各国が頼れる存在になろうとしている。
ブルッキングズ研究所によれば、中国が21世紀の産業であるクリーンエネルギーの分野で支配的な地位を確立できる位置付けにあることは、「明らかだと考えられる」。
「トランプ政権が再生可能エネルギーを雇用への脅威と見なす一方で、中国はそれを長期戦略の糸口として活用している」