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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

ウーバー共同創業者のライアン・グレーブズ(右)とダラ・コスロシャヒCEO(2019年5月10日撮影、Getty Images)

アメリカ時間の5月10日、鳴り物入りで上場を目指してきたウーバーが予想通りの高値をつけ、約8000億円の資金を調達した。米国企業としては2012年のフェイスブックのあと最大の株式公開となり、アメリカの経済界は、いまこの話題で持ちきりだ。

創業から10年。ライドシェア、つまり一般の運転手がスマホ上で相手を見つけ、お客と車を乗り合うこの事業は、アナログなものをデジタルに変える典型的なシリコンバレー商売の1つで、シェアリングエコノミーの代表格だ。しかし後述するように、赤字幅の拡大が止まらず、世の中はこの快進撃を複雑な思いで受け止めている。

乗り合いについては、それぞれの国の法律や業界団体との衝突があるなどして(日本では現在ハイヤー業務のみ)、世界進出には苦労をしているが、その代わり「ウーバー・オブ・エブリシング」という言葉が業界をにぎわすようになった。

「ウーバー・イーツ」は顧客の求めで外食のデリバリーの代行をするし、街ではスマホさえあればウ―バーの貸自転車を無人駐輪場から気軽に借りられるようになった。都会の歩道のいたるところにウ―バーの電動スクーターが放置されたように備えられ、デバイスにスマホをかざして乗り捨てていくスクーターレンタルもあり、さらには大型トレーラーまでリースするようになった。これらの派生したビジネスをひっくるめて「ウーバー・オブ・エブリシング」と呼んでいる。

アマゾンと比較されるウーバー

世界中に1億人のユーザーを持ち、マーケットシェアは70%というこの巨人は、これまで資本と借金で2兆円を集めた。どう考えても、売掛金もなく、在庫もないに等しい、運転資金のいらない商売だから、調達した巨額の金のほとんどは技術開発や新事業開発に投じられているはずだ。

2万人の従業員の役割も同様だろう。一例としては、無人運転車の開発が進んでいて、先月にはトヨタとの技術提携が発表された。「トヨタ・ガーディアン」という安全運転支援システムが、2021年にウ―バーの自動運転車両に搭載される予定だ。

このように事業領域を拡大しているウーバーは、オンライン書店から始まってなんでも売るようになった「アマゾン」となにかと比較される。創業後ずっと赤字続きというところも、アマゾンそっくりだとまことしやかに言われている。

アマゾンがやはり10年目を迎えた時、自己資本と負債をあわせてもまだ3000億円だった。それと比べると、上場前にすでに2兆円を集めたウ―バーは、確かにかつてのアマゾン以上に将来が見込まれている。

しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、ウ―バーの今回の上場フィーバー、空前の資金調達をとらえて、アマゾンの成功の軌跡に安易になぞらえるべきでないと警告している。

文=長野慶太

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