フォーブス ジャパン ウェブ編集部 エディター


──あなたがこれまでに立ち上げた3つの会社はいずれも文化やエンターテインメントと関わりがあります。なぜ、そういった分野でユーザーエクスペリエンスを高める仕事をしようと思ったのですか?

世界中にイベントやエクスポはありますが、出かける時に使うチケッティングシステムが優れていなければ、カスタマーはみじめな体験をすることになります。だから私は、まず「チケットを買う」というその「入り口」、その経験を、びっくりするくらい素敵なものにしたいんです。

この世界で一番大きな市場は何か。それは、文化と経験だと思っています。だからこそ私は、1つ目の起業では美術館を重要視しました。それから、チケット購買のサービスに広げていったんです。

オーディエンス、つまりカスタマーを見て、市場の大きさを予測すると、まさに地球規模の大きさになります。だって、どの都市にも美術館があり、経験があるんですから。だから、Passphereでは、何十億人という人たちに向けた技術を構築しています。


Passphereのイベントページ。ユーザーはここで興味のあるイベントについての情報にアクセスでき、チケットの購入もできる。

──国家システムが障壁になったり、既存の大規模なチケット購入サービスが存在したりして参入しにくいと感じた国はありますか?

ベトナムは難しかったですね。クレジットカードの文化がない現金主義の国なので、ゲームやアプリの会社でも、トークンを持って誰かが家に来て、現金で支払うんです。

私たちはデジタルのサービスなので、これはできません。ベトナムは大好きですし、人口も多く、すばらしいイベントもたくさん催されていますが、前提となるインターネットやプラットフォームがないので無理でした。

テクノロジーは「ゼロから作り上げる創造性」

──クリエイティビティーとテクノロジーはあなたにとってどんな意味がありますか?

最初の会社は18歳で立ち上げました。テクノロジーの世界で仕事をしたかったんです。テクノロジーとコンピューターサイエンスが大好きで、一生コーディングをして生きていきたいと思っていました(笑)。でも大学に行ったら、そこは私のいたい場所ではなかったんです。6カ月間通いましたが失望しかありませんでした。大学ではJavaみたいな古い、クリエイティブでない言語しか教えてくれず、クリエイティブなやり方でのコーディングが学べませんでした。

私は、テクノロジーはアートみたいなものだと思っていたんです。真っ白なキャンバスを前に、画家みたいに筆を下ろすことから初めて、どんどん筆を進めて行って、絵画を作りあげる。すばらしい成果が出来上がるまで続けるんです。そう、モナリザみたいに。

そして、毎年、数百万人の人たちがモナリザを毎年見に行くように、数百万の人たちが私たちのWebサイトを使ってくれる。しかも、それはまったくゼロから始めたものなんです。テクノロジーは、「ゼロからものごとを作り上げる創造性」です。美しいものが出来上がるまで作り続けるんです。

構成=石井節子 写真=新國翔大

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