世界初の培養エビを開発するシンガポール企業 5億円超を調達

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シンガポールを拠点とするショーク・ミーツ(Shiok Meats)は先日シードラウンドを完了し、「クリーンミート(培養肉)」から作ったエビを世界に提供するという大胆な野望を実現するため、460万ドル(約5億円)を調達した。

ショークへの投資企業には、初めてクリーンミートに投資するシリコンバレーのスタートアップ養成所「Yコンビネータ」や、肉の代替食品クォーン(Quorn)を所有する食品会社モンデ・ニッシンの最高経営責任者(CEO)など、立派な顔ぶれが並ぶ。ショークと同社の2人の女性創業者が狙いを定めるのは400億ドル(約4兆4000億円)の規模を誇るエビ市場の破壊だ。

「ショーク(shiok)」という言葉は、シンガポールで「素晴らしい」という意味を持つ。同社は、最高経営責任者(CEO)のサンディヤ・シュリラム博士とリン・カーイー博士の、持続不可能なエビ業界に代替策をもたらしたいという願望から生まれたものだ。創業者の2人は、生物学と細胞科学の経歴を生かしてショークを立ち上げ、世界初の“クリーンなエビ”を作り上げた。

2人がこの商品を市場に導入することができれば、エビ産業には大きなインパクトがもたらされ、世界中で破壊を巻き起こすだろう。米国のエビの輸入量は毎年約5万トン以上で、約0.45キロの天然エビを捕獲するたびに約9キロの混獲が生じている。また、世界のスーパーマーケットで売られているエビのうち非常に多くのものは、奴隷労働者によって殻をむかれたものだ。

消費者はこれでもまだ、エビの購入を思いとどまらないかもしれない。しかし、米国全土で検査されたエビ製品の30%は実はエビではなく、他の海洋生物だという事実を知ればどうだろう?

ショークのクリーンなエビの身は、制御された清潔な条件下で培養されている。これにより、食物経由の病気や抗生物質に対する細菌の耐性、有害な化学部質は全て排除され、奴隷労働もなくなる。また、私たちが消費する魚や甲殻類の多くはマイクロプラスチックを含んでいるが、これも避けることができる。
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翻訳・編集=出田静

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