ニュージャージー州では今年3月、現金払いができない小売店を禁止する法律が成立。ペンシルベニア州フィラデルフィア市では今夏、こうした店舗の営業を禁止する条例が国内で初めて施行される。
いずれも目的は、「銀行口座を持たない人たち」の権利を守ることだ。“千里眼”があったマサチューセッツ州は1978年に、現金払いを認めない小売店を禁止している。
一方のアマゾンは4月上旬、報道を通じて世間を鎮めようとするかのような発表を行った。意図的な決定であったのかどうかは不明だが、すでにアマゾン・ゴーでの現金払いを可能にする計画を立てていたことを明らかにしたのだ。
また、米CNBCテレビは同社のバイス・プレジデント、スティーブ・ケッセルが3月、従業員らに対し、アマゾン・ゴーで「別の支払い方法」を認める方針であることを明らかにしたと報じた。ケッセルは、これはアマゾンの賢明かつ責任ある戦略であり、称賛されるべきものだと説明したという。
だが、支払い方法に関するこうした議論は結局のところ、実際には何を意味しているのだろうか?アマゾンは賢い。同社がこうした事態に備えて計画を立てていなかったとは考えにくい。現金払いを認めることが適切な行動かといえば、それはそうだ。ただし、それはレジなし店舗を巡るより大きな問題を解決するものではない。
小売店にとって考えられる精算方法には、次の3通りがある。
1. 今後もレジに従業員を配置し、顧客には並んで精算してもらう
2. 今後も標準的な「セルフ精算レジ」を導入する
3. 新しい精算方法を考え出す
アマゾンの「別の支払い方法」は、これらのハイブリッドになる。これまでのアマゾン・ゴーの店舗のように、ただ店に入って欲しい商品を手に取り店を出るのではなく、店内に設置されたスクリーンの前や、従業員が配置された特定の場所などで、現金で決済することになるだろう。
こうした中で見えてくるのが、本当の問題だ。