ビジネス

2019.05.09

7年越しの改革に自信を見せるマイケル・デル──重要なのは「動くインフラ」の提供

デル・テクノロジーズのイベントに登壇した、マイケル・デル会長兼CEO


具体的に進めているのが、デル・テクノロジーズ ファミリー間での技術の統合。中でも重要な役割を握るのがVMwareだ。

VMwareはサーバー仮想化(ハイパーバイザー)分野ではデフォルト的存在であり、多くのプライベートクラウドの土台となってる。それに加え、ネットワーク、ストレージでもソフトウェア定義を進めており、これら仮想化技術をセットにした「VMware Cloud Foundation」では、プライベートとパブリッククラウドで構成されるハイブリッドクラウドの実装や運用管理が可能だ。

例えば、ハイパーコンバージドインフラの「VxRail」は旧デルのサーバー、旧EMCのストレージを組み合わせ、さらにVMwareの仮想化などのソフトウェアが統合されている。PCでもVMwareのデバイス管理「Workspace ONE」とSecureWorksのセキュリティサービスの統合を進めている。

技術の統合についてデルは、「顧客はシステムインテグレーター(SIer)は利用したくないと思っている。20社もの技術プロバイダからそれぞれの要素を調達して、自分たちで接続してシステムを構築するという時代ではない。VxRailと同じようなシステムを構築するには、5〜6の製品を買って組み合わせ、ソフトウェアをインストールするなど様々な作業が必要だ。それでも動かないこともある」と話す。



従来型のシステム構築では設定、運用、管理とたくさんの作業が必要だが、VxRailのような一体型ソリューションならば設定も運用も簡単だという。

「Dell Technologies World 2019」では、顧客のオンプレミスにあるシステムをVMwareが管理するデータセンター・アズ・ア・サービス「VMware Cloud on Dell EMC」を発表、この方向性をさらに進めた。

一社で全て揃うというアプローチは成功していると言うデルは、「2018年の売上高は2017年から110億ドル以上のプラスとなったが、これは様々な分野で我々が競合する企業全ての売上を合算した数を上回っている」と胸を張る。統合型ソリューションが受け入れられているだけでなく、クロスセルなどの相乗効果も出ているという。株価も、公開時は約42ドルだったが、現在最高値の68ドルをつけている。

成熟市場となったPCも堅調で、4四半期連続で成長している。照準はビジネスユーザーにある。デルは、「我々はコンシューマービジネスもあるが、自社をBtoB企業と位置付けている」と言い切る。

そのBtoB(エンタープライズ)市場では、IBMが2018年秋に340億ドルでRed Hatを買収する計画を発表している。デルはEMCを買収した自社を含めて「業界のコンソリデーションが起こっている」と説明。「以前から業界は統合に向かうとという予想を打ち出してきた。今後もこのトレンドは継続する。顧客はデジタル改革という大きな課題に直面しており、インフラが動くかどうかの心配はしたくないと思っている。価値はインフラの上にあり、我々の仕事はきちんと動くインフラを提供すること」と語った。

文・写真=末岡洋子

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