5月初め、米ラスベガスで開催されたデル・テクノロジーズのイベント「Dell Technologies World 2019」で、会長兼CEOのデルが取材に応じた。
デルは2012年に非公開企業にする計画を発表(完了は2013年)、それ以来変革を行ってきた。2013年といえばスマートフォンが世界を席巻し、クラウドがメインストリームとなり始めた頃だ。それまでPCや中規模企業向けにサーバーを提供してきたデルは、戦略の変換を迫られていた。「四半期ごとの業績に惑わされることなく、長期的ビジョンに基づいて経営を進めたい」というのが当時デルが述べていた言葉だ。
非公開化の次にデルがとったステップは、670億ドルという金額が目を引いたストレージ大手EMCの買収だ。これにより、EMCが傘下に収めていたサーバー仮想化などの仮想化技術をもつVMware、クラウドネイティブアプリ開発技術のPivotal、セキュリティのRSAなどの企業もデルの下に入り、現在デル・テクノロジーズとして7つのファミリー企業で構成される大所帯を構成している。
そして、デル・テクノロジーズは2018年末、複雑なプロセスを経て再び公開企業となった。
2013年の非公開化からを振り返って、デルは次のように述べる。
「非公開化のプロセスに入った2012年と2019年とを比較すると、現在は全く違う企業になっている。製品や機能、顧客のデジタル変革を支援する能力という点でもそうだし、財務的な数字も大きくなった。直近の会計年度では年間売上高は906億ドル(GAAPベース)、全ての事業で2桁成長を実現した」。なお、非公開化を発表した会計年度2013年の売上高は569億ドルだった。
この間継続してフォーカスしたのは、「顧客がデジタル時代に向けて準備をし、デジタル技術を最大活用することをいかに支援するか」だ。「デジタル変革では、(ビジネスモデルだけではなく、それを支える)ITやクラウドアーキテクチャの構築、自律的データセンターの構築などの変革が必要だ。データは爆発しており、AI(人工知能)などの新しい技術を使いながらデータを活用しなければならない。安全性も重要で、社員がもっと能力を発揮できるようにする職場づくりも必要」と語るデル。「我々は全てに対して技術がある」という。