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2019.05.09

アフリカを狙う中国、米国の「指導者不在」が成功の手助けに?

Gettyimages


バウマンによれば、問題はこうした事業が各国と中国を政治的に結び付けていることだ。「中国が自らの世界的な野心をアフリカ各国に支援させるために利用できる“影響力”を生み出している」という。

「アンゴラの石油生産やコンゴのレアアース採掘をはじめとするいくつかの事業では、中国の投資は一次産品の供給ルートを独占することに役立っている」

また、公共政策コンサルタント英アクセス・パートナーシップの国際公共政策担当マネージャーは、中国の投資に関するより根本的な問題点を指摘する。

「中国の投資は、…例えば、スリランカのコロンボ・ポートシティで同国のファーウェイが進めるスマート・シティ・プロジェクトは、あまりに野心的で借り入れが多すぎるという批判に直面している」
「中国の習近平国家主席は、アジアとアフリカで進める一帯一路構想によって国外で自国の力を誇示し、それによって“中華民族の偉大なる復興”を実現しようとしている」

「この政治的、経済的な取り組みと南シナ海やアフリカ大陸で強化される中国の軍事力は共に、米国が世界各国で提供する安全保障にとっての大きな課題となりつつある」

さらに、このマネージャーによれば、中国のビジネスモデルはリスク許容度が高く、発展途上国により適しているという特徴がある。

「中国の商業部門と同国政府のアフリカ地域での取り組みは、関心事が共通している。例えば、ファーウェイは新興市場の多くで非常に薄い利幅で事業を展開。業界をリードしており、ノキアやエリクソンといった欧米の競合他社は、利益を上げることができない」

前出のバウマンよると、「中国の行動は基本的に、20世紀後半の米国のそれと同じだ」。

「中国はその高まる経済力を、政治的な“ソフトパワー”として利用している。そして、米国が国際関係においては基本的に指導者を失った状態にあることから、中国が成功する可能性は非常に高くなっている」

ただし、それは「アフリカ諸国にとっての」成功ではない。

編集=木内涼子

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