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2019.05.08

親の金銭的援助に頼る若者たち 苦しい経済事情が背景に

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先述のメリルリンチとエイジ・ウエーブの調査では、若い成人の60%が、ローンを持たないことが財務的な成功だと答えている。たとえこれが可能なことであったとしても、それがいつになるかは誰にも分からない。

ブルームバーグのビジネスウイークに掲載されたある記事では、一部の学生が家具を投資家に売ることで学生ローンを減らしているという驚くべき話があった。パデュー大学やラッカワナ大学、ノーウィッチ大学で収入共有合意を結んだ学生は、ローンを借りる代わりに給料の一部を投資家に渡すことになる。記事によると、パデュー大学を昨年卒業したバーモンド州ウィンチェスターの高等教育人材スカウト業者エイミー・ロブレスキは、年収5万ドル(約560万円)の給与の中から毎月投資家に279ドル(約3万円)払っている。

「若い成人の生活において、ローンはとても厳しい側面だ」とダイクワルド。彼は調査回答を見た後で「(若者に対し)以前よりも強い共感と懸念を感じた。この時代の若者であることの複雑さと課題に、今までにないほど大きな尊重の気持ちを感じている」と述べた。

若い男性と女性の間には大きな差も

ダイクワルドや私が驚いたことの一つは、若い男性と女性の経済的優先事項の違いだ。

女性のうち、未来に向けて貯蓄しローンを返済することが経済的な優先事項だと述べた人は72%だったが、そう答えた男性は60%だった。逆に、男性の40%は現在の生活を楽しむことが経済的優先事項だと答えたが、女性の間でその割合はたった28%だった。

ダイクワルドは「女性はより長期的な視点を持った責任ある考え方をしているのに対し、男性はそれほどこの点を意識していない」と述べた。

また調査対象となった女性のうち、成人後しばらくたった25~34歳の間に金銭的支援を受けることは悪いことだと考えていた人は70%だったが、男性の間では57%だった。

さらに同調査からは、女性が男性よりも早いうちに自立度を高めていることも分かった。30歳以上の対象者のうち、62%の男性はまだ親から金銭的援助を受けていたが、女性の間ではそれが49%だった。

この差は、埋める必要があるものだ。

翻訳・編集=出田静

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