ただ単純に世界遺産の建造物を見るのではなく、その時代の生活習慣に触れるコースがあるということは、過去の遺産をただの“もの”として捉えず、“文化”としてみているということ。文化という言葉が、ラテン語の耕す(colere)から派生した言葉で、「洗練したものにする」「教化する」という意味があることをよく理解しているフランスだからこそできることのように思います。
ここで得た想い出と学びは、その後の人生をより豊かに生きていくためのヒントになります。また、フランスでは「観光は他の産業のPR」だといわれますが、この地に並ぶ石鹸やオリーブオイル、ワインなどがお土産となれば、都市で暮らす人には良い息抜き、かつ、アピールになります。
散歩コースでは、入り口付近にある2本の大きなオリーブの木が印象的でした。樹齢1000年、ここで多くの時代の流れを見てきたその木は、とてもゆったりと構えていました。ポン・デュ・ガールは「水」を運ぶために作られた建造物ですが、その役目を終えた現在は、学びの場として過去と未来を繋ぎ、観光地としてプロヴァンスと世界を繋ぐ橋としての役割を担っているように思います。
5月に入り、新緑や花々が鮮やかなプロヴァンスはこれからがベストシーズン。日本ではゴールデンウィークが終わったばかりだと思いますが、次のバカンスの候補に検討してみてはいかがでしょうか。
ニース在住のシェフ松嶋啓介の「喰い改めよ!!」
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