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南仏プロヴァンスの観光名所に、ガルドン川に架かる水道橋「ポン・デュ・ガール(Pont du Gard)」があります。ユネスコ世界文化遺産であり、フランスの偉大な景勝地あるこの地には、年間100万人以上が訪れます。

ユネスコの世界文化遺産に選ばれるためにはいくつかの基準を満たさなくてはいけないのですが、ユネスコのサイトによると、ポン・デュ・ガールは以下の項目を満たし、認定されています。

1. 人類の創造的才能を表現する傑作
2. 現存する、あるいはすでに消滅した文化的伝統や文明に関する独特な、あるいは稀な証拠を示していること
3. 人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体または景観に関する優れた見本であること

文字にすると堅苦しいですが、実際に訪れてみると、プロヴァンス地方に脈々と受け継がれる時間と人間の流れを感じることができます。

全長275メートル、高さ49メートル、3列のアーチが印象的なこの巨大な橋は、1世紀に古代ローマ人によって建設されました。約2000年も前に、なぜこのような橋が作られたか。それは、当時ネマウススと呼ばれたローマの主要都市(現在のニーム)で人口が増え、水不足を解消するために、水源地であるユゼスから水を引く必要があったからでした。

散歩してその文化を知る

そのポン・デュ・ガールに、「mémoire du garigue(ガリッグの想い出)」という散歩コースがあります。修復された農業用地をめぐる1.4kmほどのコースなのですが、4月に訪れてみると、それは南仏の歴史と文化を学ぶことができる素晴らしいプログラムでした。



「ガリック」とは、プロヴァンス地方や地中海沿岸など、乾燥した水はけのよい場所特有の石灰質の岩山に生える植物の群系のこと。わかりやすい例だと、オリーブ、タイム、ローズマリーなど、地中海の料理によく使われている食材やハーブが挙げられます。この土地らしさを表すもので、プロヴァンスやコート・デュ・ローヌのワインを開けたときに、「ガリッグの香りがする」と言ったりもします。

「mémoire du garigue」では、ガリックについて知るのみならず、コースを進むにつれて、地中海式農業や建築、遊牧などの歴史に触れることができます。学べることも多く、頭も使いますが、道中には多種多様な植物(薬草や香草)が花を咲かせ、色と香りで五感を楽しませてくれます。



地中海やプロヴァンスの人たちが、どのように土地を開拓し、どのように暮らしてきたかの足跡を辿りながら、自然に触れ、インスピレーションを受ける。散歩というほどよい運動も合間って、心と身体と頭がバランスよく刺激されていく。プロヴァンスはその豊かなライフスタイルが注目される地域でもありますが、この散歩コースもその魅力を体現しているようでした。

文=松嶋啓介

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