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旅から学ぶインバウンドの最前線


青木:観光で「日本の友達」を増やすということに関しては、どう考えていらっしゃいますか?

山田:観光は「日本の友達」を増やす大きなきっかけになりうると思っています。中南米やスペインから日本を訪れた人たちの話を聞くと、多くの人たちが「よかった」とか「おもしろかった」と言って、感動して帰っていくんです。ブラジルやメキシコの人たちは、観光地だけでなく、日本が安全で、清潔で、みんなが親切という点に感謝したり喜んだりしています。それはヨーロッパの人たちも同じようなことを言っています。

実際に日本を観光することで、多くの人がさらに日本を好きになる、つまり「日本の友達」になっているのです。もちろん旅先に日本を選んでいる時点で、日本のことを嫌っているということは稀だと思うのですが、仮にそういう人がいたとしたら、「嫌いなところもあるけれど、いいところもあるんだな」と気付くきっかけをつくることができると考えています。外交を通して訪日観光者を増やすことは、訪日観光によって「日本の友達」を増やし、日本外交に貢献することにつながると考えています。

青木:山田大使と私が出会うきっかけをくれた、コンテンツプロデューサーの故・櫻井孝昌さんが、一時期「国際プロデューサー」と名乗っていたことがあります。櫻井さんは、「日本の文化を作っている人はいるけれど、それを発信する人が欠けているのではないか」と話していました。

私は、櫻井さんの意見と同じく、日本の情報を発信する人が今後より必要とされるのではないかと思っていて、山田大使はまさにそういう役割を果たしている方だと思うんです。そんな山田大使が考える、インバウンドを盛り上げるために欠かせない人物像や役割があれば教えてください。

山田:人物像というよりは、日本の観光ガイドブックなどで紹介されている「その先」の情報を、読者の国の言葉で発信する人や企業が増えたらいいですね。現在発信されている情報の多くは「ここの景色がきれいです」「ここの料理がおいしいです」といった、行き先を決めるための情報です。でも、そこに行くまでの移動手段に関する情報も、本来は同じくらい必要なはず。

また、観光地を巡るだけではなく、日本でしかできないことを体験する「体験型観光」に対する気運も高まっているのを感じます。それを逃さないためには、観光地以上に、時間やお金がどれくらいかかるのかなどの細かな情報を発信する必要性を感じます。


AHMAD FAIZAL YAHYA / Shutterstock.com

でも、そうした情報もやっぱり自国の言葉でないとなかなか読まないわけですよ。我々だって、海外旅行のときに英語で書かれた情報を読むのは大変ですよね。だから、多言語でローカルな情報を発信しているMATCHAに期待しているわけです。

青木:それ以外で、日本の魅力に関してどのような情報発信が必要だと思いますか?

山田:私がメキシコにいた時に、現地で日本のアイドルグループ「℃-ute(キュート)」のライブがありました。そのライブには、彼女たちを観ようと日本、ボリビア、アルゼンチン、ペルーと世界中からファンが押し寄せた。その後℃-uteはフランスへ移動したのですが、彼女たちを追いかけてフランスまで行き、現地のファンとの交流を楽しむ日本のファンも多かったんです。

ファン同士なら、国籍が違っていても共通言語があるから楽しいわけです。そういう体験を旅の中に見出すのはいいですよね。音楽でも、芸術作品でも、非言語の体験を世界中の人々と共有することはとても素晴らしいと思います。

「嵐のコンサートは学会泣かせ」とよく言われています。アイドルグループ「嵐」のコンサートと学会の日程が重なると、ホテルが埋まっていて困るからです。日本国内だったら、そうやって好きなアーティストを追っかけてどんどん旅行するじゃないですか。それくらい動員力があるコンテンツがあれば、インバウンド観光にも繋げられるのではないかなと。たとえば、さいたまスーパーアリーナや、今や国際的にも大人気のコミケが行われるビッグサイトのアクセスを紹介するだけでもいいかもしれません。

構成=梶山ひろみ(MATCHA)

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