一方で、テスラはこれらのSNSに広告費を全く支払っていないという。
トヨタの場合はSNS支出の62%をフェイスブックに割り当てている。これに対し、ポルシェのフェイスブックへの割り当ては14%で、ユーチューブに47%を費やしていた。
BrandTotalは今回の調査にあたり、各メーカーの米国での広告キャンペーンに対する支払いを分析した。調査期間は2019年3月26日から30日間だった。
その結果、自動車メーカーの広告出稿先として最も人気なのはフェイスブックであることが分かった。
次いで人気なのがユーチューブで、各メーカーの広告費用の3分の1から半分近くを獲得していた。ホンダやフォードは予算の30%以上、キャデラックやポルシェは40%以上、アウディは予算の54%をユーチューブに注いでいた。
インスタグラムの存在感もかなり大きい。インフィニティやポルシェ、BMWらは予算の30〜40%をインスタグラムに割り当てている。
一方で、ツイッターはさほどのシェアを獲得できていない。予算の5%以上をツイッターに投じたのはキャデラックとBMWのみで、キャデラックは8%、BMWは20%だった。他のメーカーがツイッターに割り当てる予算が5%に満たない中で、BMWのツイッターへの割り当ては、際立って大きい。
さらに興味深いのが、フォルクスワーゲンと日産が予算の全てをフェイスブックに注いでいたことだ。彼らがここまでフェイスブックを信頼するのは、一体なぜなのだろう?
その理由をBrandTotalは「ユーザーの平均年齢の高さだ」としている。
「フェイスブックは大手SNS企業4社の中で、最も多くの自動車メーカーのシェアを獲得している。ブランドが高年齢層にリーチしたい場合は、フェイスブックを利用する。一方でユーチューブやインスタグラムは、若者へのリーチに用いられている」とBrandTotalのCEOのAlon Leibovichは述べた。
テスラは有料の広告キャンペーンを一切行っていないが、オーガニック(無料で実施する広告)では活発な活動を行っている。
インスタで強力に支持されるテスラ
テスラは調査期間中に200万件以上のオーガニックのエンゲージメントを獲得していた。そのうち55%が、インスタグラム上のものだった。また、11%がツイッター上のエンゲージメントだった。テスラCEOのイーロン・マスクは2600万人以上のツイッターのフォロワーを抱えている。
「強固なブランドは広告予算をかけずとも、高いエンゲージメントを生み出せる」とLeibovichは分析する。
「テスラは他メーカーが有料で実施した広告キャンペーンよりも高いエンゲージメントを、オーガニックで得ている。これはテスラファンの多くが既にブランドの支持者であり、ツイッターなどのSNSを活用しているからだと考えられる。
オーガニックで高いリーチを獲得したブランドは、有料のSNSマーケティングを実施する必要がない」
ただし、テスラの直近の四半期決算の状況を見れば、同社も少しは有料の広告キャンペーンに費用を注ぎ、売上を回復させるべきなのではと思う読者も多いだろう。