ベニオフらはカリフォルニア大学で「Benioff Homelessness and Housing Initiative」と呼ばれる研究プログラムを開始し、ホームレス問題の構造を調査する。そこで得られたデータを政策立案者や地域コミュニティのリーダーらと共有し、問題の解決に役立てる。
「ホームレス問題の解決に欠かせない本物のデータが求められている」とベニオフは5月1日のプレスリリースで述べた。「カリフォルニア大学の研究者らと協力し、エビデンスに根ざした役立つデータを提供していく」
イニシアチブのリーダーは、カリフォルニア大学でホームレス問題を研究する教授のMargot Kushelが務める。彼らは新たなリサーチを実施するのと並行して、これまでの研究論文をデジタルライブラリーに保存し、検索可能にする試みも進めていく。過去にホームレス体験を持つ人々や、専門家らを招く定期的な会合も開催する。
「ホームレス問題を解決する即効薬は存在しない。これまで様々な解決策が提示されたが、それらは政策立案者らに十分届いていない」とKushelは述べた。
2017年の調査では、サンフランシスコには約7500人のホームレスが存在しており、2013年から2%の増加となっていた。
68億ドルの資産を持つベニオフは、既に合計2億ドルをカリフォルニア大学に寄付している。2010年に彼は1億ドルを提供し、289人を収容可能な病院「Benioff Children’s Hospital」を建設した。さらに2014年にはオークランドの小児病院の建設に向けて1億ドルを寄付していた。
ベニオフは以前からホームレス問題の解決に熱心なことで知られ、昨年サンフランシスコの住民投票で可決された、通称「ホームレス税」と呼ばれる税制度Prop Cの導入を巡り、ツイッターのジャック・ドーシーCEOらと議論を繰り広げた。
ホームレス税はサンフランシスコで年間5000万ドル以上の収益をあげる企業らに、ホームレス問題の対策費用として、最大で0.69%の法人税を追加で支払うことを求めるもの。ジャック・ドーシーらはこの法案に反対したが、ベニオフは法案の制定を推進する運動に、210万ドルの個人資金を投じていた。
この税制度は住民投票で61%の票を得て可決されたものの、3分の2には達していないため、反対訴訟によって導入が遅れる可能性がある。4月上旬には反対グループが州の最高裁判所で、導入の差し止めを求める訴えを起こした。
カリフォルニア州の憲法では、法案の成立には3分の2の得票が必要であると彼らは主張している。