経沢香保子さんが語る「社会と楽しく繋がっていく場所としての仕事」

撮影:原哲也

今回は、2012年当時最年少女性社長として自ら設立した会社の上場を果たした経沢香保子さん(現・キッズライン代表取締役社長)にお時間をいただき、「グローバル」や「女性の働き方」といったテーマを切り口に様々なお話をさせてもらいました。

他の先進国ほどは浸透していない意識
 
吉田:私は「グローバル×教育」をテーマに掲げ、海外で教育した外国人が日本で働きやすい環境を作るお手伝いをしています。一方で経沢さんは「女性の社会での活躍」をテーマに掲げ、ベビーシッターや家事代行のマッチングサービスに取り組んでらっしゃいます。

今回、経沢さんにお話を伺おうと思ったのは、日本社会の中では「他の先進国ほどは意識として浸透していない」ということが、外国人の雇用、女性の活躍、この両方に共通する課題であると感じているからです。
 
経沢:吉田さんは、どうすれば日本社会の意識が変わっていくとお考えですか。

吉田:2つあると思います。1つは個々人が「良い刺激を受けること」。例えば、自分が尊敬していて普段からしっかりと耳を傾けられるような相手から正しくメッセージを受け取り、自分の考え方も整えていく。

もう1つは「成功体験」。例えば、外国人と仕事をしたことがない人は「外国人と分かり合うのは難しい」と思っているかもしれません。ただし、実際一緒に働いてみるとそうではないことに気付けるはずです。もちろん一朝一夕には社会の意識は変わらないのですが、この2つが上手く組み合わさっていくことが重要と思っています。

経沢:本当の意味での「交流」を重ねるということですね。
 
「ベビーシッター」という文化
 
吉田:私は幼少期にフランスで育ったのですが、周囲は当たり前のようにベビーシッターがいる環境でした。
 
経沢:そうなんですね。「当たり前」とはどのような感じですか。


 
吉田:幼稚園や小学校の子供の送り迎えは、親がやるのとベビーシッターがやるのが半々ぐらいでした。私自身も小学校でクラスの友達の家に泊まりに行ったりすると、その友達の家のベビーシッターがシャワーを浴びたあとの私の髪を乾かしてくれたりしていました。
 
経沢:フランスにはベビーシッターを利用しやすい仕組みがあったのでしょうね。
 
吉田:今お話したのはインターネットもない30年も前のことですが、そう考えると、今の日本はベビーシッターの活用という点では30年前のフランスにも及ばないのですね。
 
経沢:確かにそうですね。
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文=吉田健太朗 写真=原哲也

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