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──自分がイタリア文化に魅了されていることに気付いたのはいつですか? そのきっかけは?

イタリア人は、電撃的な恋に落ちることを表現するとき「雷に打たれる」という言葉を使います。私は初めてのイタリア旅行でこれを経験しました。スイスで講演後、予定になかった寄り道をしたときです。知り合いが誰もいない国、言葉も分からない国のとりこになるなんて想像もしていませんでしたが、それが実際に起きたのです。

イタリアの訪れた無数の人々と同じように私もこの国に魅了され、ミケランジェロのダビデ像によって脳のシナプスに火が付き、プッチーニのアリアによって魂がかき回されました。滑らかなソースの手作りパスタを一口食べたとき、今まで存在すらも知らなかった味覚芽が目覚めたのです。私の耳は合唱やベスパ、路上のミュージシャン、子どもたちの笑い声といった音であふれました。

私はイタリアを去った瞬間、自分はもう救いようのないことが分かり、いつまたイタリアに来られるかをすぐに考え始めました。

──以前執筆した2作は、新著にどう結びついていますか?

私は自分が会ったイタリアの人々とどうしても連絡を取り合いたかったので、イタリア語に没頭し、イタリア語の美しい響きに魅了されました。エージェントから「イタリア語について話しているときにぱっと明るくなるから」という理由で、イタリア語についての本執筆を提案されたのです。

私はイタリア語をめぐる素晴らしい歴史を学びました。数々の詩人や王子、そして、庶民の言葉の中に見つけた「最も美しい花々」をまとめた初の辞書を作ったフィレンツェの若者集団──。

私はフィレンツェに滞在中、モナリザの母が育ったパラッツォ(広壮な邸宅)に住む美術史家と友達になりました。実際にルネサンス期を生きた女性としてのレオナルド・ダビンチのミューズ(女神)という概念に魅せられた私は、『モナ・リザ・コード』で彼女の物語を再構築することにしました。するとこの本の朗読会で、ある男性に「イタリアについてはもうやり終えたという感じですか?」と尋ねられました。

その質問はばからしく感じました。イタリアはまだ私の心を離してはくれなかったのです。

(後編記事ではヘイルズに聞いたイタリア旅行時のアドバイスを紹介する)

編集=遠藤宗生

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