ベストセラー作家が語る、旅行者が恋するイタリアの「情熱」

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イタリア旅行は、多くの人を何らかの形で変える。生活に食べ物やスタイルなどイタリア文化の一部をほんの少し取り入れる人から、人生観が覆る人まで、変化の程度はさまざまだ。

作家のダイアン・ヘイルズは新著『La Passione: How Italy Seduced the World(ラ・パッシオーネ イタリアはいかに世界を魅了したか)』で、イタリアとそのライフスタイルに恋する人が多い理由を見事に解き明かしている。ヘイルズは以前にも、イタリアの生活に関する独創的なベストセラー本を2作執筆しており、うち1作は『モナ・リザ・コード』として日本語にも翻訳された。

フォーブスはヘイルズを取材し、新著について話を聞くとともに、イタリア旅行を控えた人へのアドバイスを尋ねた。

──「パッシオーネ(情熱)」という言葉の意味を簡単に教えてください。

英語話者は「パッション(情熱)」と聞くと激しい感情のことを思い浮かべますが、イタリア語の「パッシオーネ」にはそれよりももっと広い意味があります。2000年近く前、ローマの初期のキリスト教徒はイエス・キリストの受けた拷問と十字架へのはりつけを表現するため「苦しむ」を意味するラテン語から「passio」という言葉を作りました。

イタリアの文章家らはその後数世紀かけてこの言葉の意味を拡大し、抗しがたいロマンチックな愛や、苦難と復活が組み合わさるひたむきな追求を指して使うようになりました。イタリア語のパッシオーネはありふれたものを素晴らしいものに、陳腐なものを美しいものに、食べ物をごちそうに、音を歌に、瞬間を映画に変えることができます。

カリフォルニア州よりも小さなイタリアは、発見と創造に対する強い意欲のおかげで、システィーナ礼拝堂に命を吹き込み、ジュゼッペ・ベルディの歌曲の中を駆け抜け、ヴァレンティノ・レッドの服を整え、ビンテージワインのブルネッロに深みを、ピリッとしたペンネアラビアータにスパイスを与えるなど、西洋文化のあらゆる側面に影響を与えてきました。

イタリアがなければ、世界は今よりずっと単調なものになっていたでしょう。
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編集=遠藤宗生

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