ブランド品は性格を語る、対人関係を円滑に進めるための処方箋

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いわゆるブランド品を、筆者は「高級品で有名なもの」と定義しているが、それらを身につける人の心理を詳細に分析すると、どのように対処すれば対人関係を円滑に進めることができるか、その処方箋が見つかる。

まず、長年、同じブランドを身につけている人は、一度好きになったら変化を好まないというタイプだ。得てして、そのような人の場合、デザインだけではなく、そのブランドの理念やサービスまで理解して、愛用している場合がある。いわばブランドのファンだ。

こういった人に接するときは、まさに、そのブランドの、顧客サービス係のように振る舞えばばよい。細やかな気づかいやアフターケアを忘れずに接していけば、長い付き合いとなる。会う回数も増やして、ゆっくりと親密になっていくのが肝要だ。

会うたびに身に着けるブランドを一新している人もいる。銘柄や価格にこだわらず、今、話題になっているものを好んで身につける人だ。おしゃれに敏感なのかもしれないし、トレンドを自ら体験するためにそのようにしているのかもしれない。後者は、リーダータイプの人間によく見られる。

周囲に自分の新しさ、柔軟な姿勢を発信したいのだ。そのような人に会うときは、新しさを競う必要はない。むしろ相手に合わせていると逆効果になる。それよりも、他者から評価されている自分の評判や仕事の将来性をアピールするほうがよい。

ブランドの語源は「焼印」

簡単に自分との距離を近づけないために、相手の反応を注意深く窺う人がいる。こういう人が身に着けるブランド品は、目が飛び出るほど高価なものだったり、奇抜なデザインだったり、メッセージ性が強いものだったりする。こんなとき、どう接してよいか怯んでしまうかもしれない。

しかし、こういう人は、強い自己承認欲求を発していると解釈すればよい。とにかく目立つように身につけているわけだから、まずは、そのことに触れて、積極的に話題にしたほうがよいのだ。人は、自分の話を聞いてくれる人に対しては、理解者だと感じる。一見、とっつきにくい人は、自分と本気で関わる勇気を持つ人と仲間になりたいのだ。

このように、ブランド品は身につける人の性格を雄弁に語る。翻って、自分のこととして考えれば、ブランド品を身につけるということは、他者に自分の性格も見せていると考えたほうがよい。それによって、自分にレッテルが張られるということでもある。そもそも、ブランド(brand)の語源は、「焼印」に由来しているのだから。

連載:表現力をよくするレシピ
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文=中井信之

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