時計も多様性の時代 バーゼル取材から選ぶ「今年の時計」ベスト5

(左から) ブライトリング プレミエ B01 クロノグラフ 42 ノートン エディション、パテック フィリップ アラーム・トラベルタイム5520P、H.モーザー ベンチャー・コンセプト ベンタブラック レッドゴールド

2019年のバーゼルワールドでは、21ブランドを取材。各ブランドで平均10本強くらいの新作を見させていただいたので、その総数は200本を軽く超えるのだが、そのなかから独断と偏見で今年のベスト5を選ばせていただいた。

そのポイントが機能面、デザイン面とさまざまなのは、腕時計の多様性を物語っているからである。

ブライトリング|プレミエ B01 クロノグラフ 42 ノートン エディション


[自動巻き、SSケース、42mm径、97万円 問:ブライトリング・ジャパン 03-3436-0011]

オートバイ好きなら知らない人はいないであろう、ノートンモーターサイクルとのコラボレーションモデル。両社ともに19世紀後半の創立で、男っぽい武骨な雰囲気が共通しており、パートナーシップがしっくりくる組合せ。この「プレミエ」はクロノグラフの復刻モデルで、ヴィンテージ感あふれるデザインが魅力。ノートンとの相性も抜群にいい。デイリーユースの時計として使用したい腕時計である。

ブルガリオクト フィニッシモ クロノグラフ GMT オートマティック


[自動巻き、チタンケース、42mm径、192万円 問:ブルガリ ジャパン 03-6362-0100]

美しい造形、チタン素材の特性を上手き生かした仕上げ、そして、その薄さ。とてもバランスがよく、格好いいモデルである。搭載の自動巻きクロノグラフムーブメント「Cal.BVL 318」は、約55時間のパワーリザーブ、コラムホイール式の制御方式、水平クラッチ、GMT機能を備えながら、厚さがわずか3.3mm。42mm径ケースの厚さは、6.9mmである。ブレスレットの仕上がりもよく、腕に馴染む、着け心地のいい腕時計である。

パテック フィリップアラーム・トラベルタイム5520P


[自動巻き、PTケース、42.2mm径、価格未定 問:パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター 03-3255-8109 ]

パテック フィリップでは珍しいアラーム機能を備えた目覚まし時計である。しかし、このモデルは、プラチナ製ケースということもあり、標準的な目覚まし機能付きの腕時計とは一線を画す。アラーム時刻を15分刻みで正確に設定できるグランドコンプリケーションと言うべきである。アラーム時刻は、もちろんローカルタイムと連動しており、ハンマーが最大40秒間、1秒間に2回半の間隔で魅力的な音を鳴らす。

シチズンザ・シチズン AQ6010-06A


[自動巻き、18KWGケース、37.5mm径、180万円 問:シチズンお客様時計相談室 0120-78-4807]

1年で1秒しか時間のズレが生じないまさに世界一の精度を誇る、いままででもっとも正確な腕時計といえる。搭載の光発電のクォーツは、GPSや電波時計のような外的補正に頼らず、この精度を得ている。これは技術面においては、今年のバーゼルワールドで一番のトピックといえるのではないだろうか。

「Cal.0100」の記念すべきファーストモデルは世界限定100本。ケースのホワイトゴールドも美しい。

H.モーザーベンチャー・コンセプト ベンタブラック レッドゴールド


[手巻き、18KRGケース、39mm径、295万円 問:イースト・ジャパン 03-6274-6120]

ダイヤルに光の吸収を99.965%を吸収する、世界で最も黒い物質といわれるベンタブラックを採用し、ムラのない美しいブラックダイヤルを創り出している。漆黒のダイヤル、レッドゴールドのケース、ベンチャーの特徴でもあるドーム型のサファイアガラスが相まった独特の空間に2針という、究極のミニマリズムを追求した腕時計である。39mmという程よいサイズ感が、着け心地の良さも実現している。

文=福留亮司

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