似合う眼鏡選びのポイントは「顔の形」だけじゃない。今どきの「新常識」とは?

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私は眼鏡ライターとして、眼鏡のトレンドや業界の動向などを中心に取材をしている。本業のライティング以外にも、ときどき眼鏡店のイベントなどで眼鏡選びのアドバイスをさせてもらうことがある。

そんなとき決まって聞かれるのは「自分に似合う眼鏡はどんな形ですか」という質問だ。パっと見た感じ、服やバッグなどについては自分なりのこだわりがありそうでも、眼鏡となると何を選んでいいかわからない。そんな人は少なくないように思う。

眼鏡選びのハードルを上げてしまっていると考えられるのが、「丸顔に丸い眼鏡はNG」といった数十年も前から語られている眼鏡選びのセオリーだ。顔型との相性で似合う眼鏡の形を指南するこのセオリーが、わかりやすいようでいて、むしろ「自分の顔に合ったものを選ばなくては!」というプレッシャーを生んでいるような気がしてならない。

私は、こうした顔型別のセオリーに囚われる必要はないと考えている。というのも、まず一つに、人の顔も眼鏡の形も、丸や四角などと明確に分類できるほど単純なものではないからだ。さらに、ひと言で丸顔の人といっても目や鼻などパーツの位置や大きさは人それぞれであるし、丸眼鏡といっても、素材や色、大きさなどでその印象は大きく変わる。ちなみに私は先日菱形の眼鏡を購入したが、菱形なんて個性的な形はこのセオリーでは触れられてさえもいない。

むしろ私が眼鏡フレームを選ぶ際に一番重視するのは、サイズ感だ。じつは洋服の着こなしと同様、眼鏡の“かけこなし”においてもサイズ選びが重要となる。「何をかけても似合わない」と悩んでいる人の場合、サイズ選びに要因があることも少なくない。

眼鏡選びの際は、TPOにも気を付けたい

では、そうしたサイズ選びの基準は何か。それは、「レンズの横幅に対して、黒目の位置が中心にくるもの」を選ぶこと。フロント(前枠)に関してはこれが理想的なサイズであり、サイズが合っているものであれば、どんな形でもバランスよくかけられるのだ。

また、眼鏡選びの際は“顔に似合うこと”ばかりを考えてしまいがちだが、“どんなシーンで使うのか”、といったTPOにも気を付けたい。たとえば眼鏡を買いに行った際のカジュアルな服装にはしっくりきていたものであっても、スーツに合わせるには少々カジュアル過ぎて不釣り合いだった、なんてことも。「あの人は眼鏡を素敵にかけこなしているな」と見える場合、自分の顔に合うものをかけているということ以上に、服装や髪型との統一感が取れているということが多いもの。トータルのバランスが取れてこそ、その人に“似合う眼鏡”になるというわけだ。

それだと、顔型との相性よりもハードルが高い……? いやいや、逆に言えば髪型や服装を変えただけで今まで似合わないと思っていた眼鏡が似合うこともあるわけだから、選択肢の幅はぐっと広がる。だから「自分は眼鏡が似合わない顔だ」などと、はなから決めつけないでほしいと思う。

近視や遠視のみならず、年齢を重ねれば誰もがお世話になる眼鏡。このコラムでは、少しでも眼鏡を楽しく、有益に使えるような情報を提供できればと考えている。

文=伊藤美玲

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