税金の「国民負担率」、日本はOECD平均以下

Kamil Macniak / shutterstock.com

給与から差し引かれる所得税や社会保険料は、住んでいる国によってその割合が大きく異なる。

経済協力開発機構(OECD)が2019年4月に公表した最新の「賃金課税統計2019」 では、全加盟国の2018年における正味平均個人税率が考察されている(「個人所得税と社会保険料」から家族給付受取額を差し引いた額が、賃金総額に占める割合) 。

「平均賃金を得ていて子どもがいない独身世帯」を対象にして計算した数値を見ると 、OECD加盟国では2018年、平均で賃金総額の4分の1強が、所得税ならびに社会保険料として差し引かれていることがわかった。

税率は国によって大きな差があり、収入額と家族状況によってかなり左右される。

一見すると、子どもがいない独身世帯で 所得税と社会保険料の負担がかなり重いのは、ベルギーとドイツのようだ。2018年にはともに、平均で賃金のうちおよそ40%差し引かれていた。

とはいえ、話を聞く相手にもよるが、ベルギーやドイツの労働者からは、「高い税率と引き換えに、医療保険や年金制度、高齢者福祉、失業給付、高速道路無料などで恩恵を得ている」とすぐさま反論されることが多い。

ヨーロッパのほかの国々を見てみると、賃金総額における所得税と社会保険料の割合は、イタリアが平均31.4%、フランスが28.7%となっている。

ヨーロッパの外に目を向けよう。オーストラリアでは、平均で賃金総額の4分の1近くが差し引かれている。

また米国は、すべて合わせると23.8%となった。

アジアにおける経済大国のひとつである日本では、所得税の割合は7.9%と比較的低いが、社会保険料は高く、合計すると22.3%だ。

韓国の場合は、合わせてもたったの14.9%と低い。その内訳は所得税が6.4%、社会保険料が8.5%だった。

賃金総額から差し引かれる所得税と社会保険料の割合(2018年の平均)* 

(左から、所得税 社会保険料 合計)
ベルギー 25.9% 14.0% 39.8%
ドイツ 19.1% 20.6% 39.7%
イタリア 21.9% 9.5% 31.4%
フランス 16.8% 11.9% 28.7%
ポーランド 7.4% 17.8% 25.2%
スウェーデン 18.2% 7.0% 25.2%
オーストラリア 24.6% 0.0% 24.6%
米国 16.1% 7.7% 23.8%
イギリス 14.0% 9.4% 23.4%
カナダ 15.7% 7.4% 23.0%
日本 7.9% 14.5% 22.3%
スペイン 14.9% 6.4% 21.3%
スイス 11.2% 6.2% 17.4%
韓国 6.4% 8.5% 14.9%
メキシコ 8.9% 1.4% 10.2%

*OECD加盟国より抜粋、数値は四捨五入により合計が一致しない場合がある。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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