山川:私を含めて周りの人間はよく「5人の変態」という言葉を使います。新規事業を進めたいんだけれども、会社がなかなか動かないという問い合わせがよく来るのです。それに対して「5人の変態を集めてください」とアドバイスします。5人変態が集まると、それは文化になっていって、そこからいろんなものができるようになる。
伊藤:そうなりますね。僕は同じことを「300X」という言葉で伝えています。ペルシア戦争のテルモピュライの戦いでスパルタ王が、300人の兵隊で100万人と言われる大軍と戦う話です。300人の勇猛なスパルタ軍が身を呈して戦い、負けはするけれど善戦することによって、他の都市国家が奮起し、ギリシア軍が勝利した。歴史を変えたと節目と言われる戦いです。
たった300人でも歴史は変え得る。僕たちのような異物は、個人だとできることは限られるかもしれないけれど、一定数集まったらモーメンタムができる。異物というのは、良い意味で非常識を常識に変え得る人材のことです。300XのX(エックス)は、ミュータントを指しています。
山川:規格外だからこそできることがあります。常識の範疇であれば、何も変わらないんですよね。それしかやっちゃいけないっていうルールだから。そのルールを破るという力はブレイクスルーとして、必要になってきます。そして作る。破るだけではなく、新しいルールを作ることが必要になってくるし、それこそが起業家精神でしょう。
伊藤:今のフレームをフォローしているのではなく、その枠を自分で作るということだと思います。そのためには能動的でなければいけないし、自分の責務について考えていなければならない。
山川さんだったら失敗学の教授として「Failure is good」、転んだその先に未来があるということを大学で教えているわけじゃないですか。僕はわざと組織の仕組みを変えて、若手を指導している。日々、チェンジエージェントなりの責務を果たそうとしているわけです。
何かを変えようと思ったら、そこには責務がついて回ります。ですから、もしこれからの日本を変える「出る杭」になろうと思う人がいたら、今すぐに「自分にとっての責務は何なのか」を、考えて欲しいですね。
連載:魁であれ。変革の時代を生き抜くルール
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