魁であれ。変革の時代を生き抜くルール

ジャパンディスプレイCMO/X-TANKコンサルティングCEO・伊藤嘉明

コカ・コーラ、デル、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)、ハイアールアジアなどの複数のグローバル企業で活躍してきた伊藤嘉明と、起業家教育の分野で世界的な評価を得ているバブソン大学で10年近く教鞭を取る山川恭弘氏による対談。

リスクを受容し失敗に対処するための「失敗学」を専門とする山川教授は、日本の企業が大きく衰退した平成という時代をどう見るのだろうか。



伊藤:グローバルなビジネスの視点で見れば、平成という元号の期間は、世界の企業ランキングでトップ10に日本企業が何社も入っていた時代から、1社も入らない時代へと、大きく日本の状況が変わった30年でした。しかし客観的にみれば、それは当たり前のことです。

企業のライフサイクルは30年といわれます。だから日本企業のライフサイクルが丁度この平成の30年間で終わったという見方をすれば、ランキングが入れ替わって当たり前ですよね。

現代は企業のトレンドも、ものづくり延長型から、エコシステム、プラットフォーマー型に移り変わっています。最近はライフサイクルが15年、10年と短くなっていますから、恐らく10年後にはまた違う形になる。次の10年は平成の30年が凝縮された感覚になるような気がしますけれどね。

山川:そう考えると、平成という時代は、危機感の醸成がうまくできない日本人の国民性の象徴だという気がします。例えば企業ランキングが推移して、企業が出たり入ったりしているということは、アメリカも同じです。

日本だけじゃなく、いろんな意味でトップにずっといることは難しい。だから企業の持続性を考えれば、大企業もどんどん変革していかなければ衰退する。危機感を持って変革し成功していく会社と、危機感を全く感じず時代遅れの恐竜になってしまう会社がある。その事実を、日本の社会がまだ上手く飲み込めていない。

伊藤:全く同感です。

山川:元号の変更は、そういった現状を把握し内省するにはよい機会なのではないでしょうか。私は内観することや内省することが、起業教育の基本だと言い続けています。



日本の国民性として「平成の時代がどうだったか」というように、振り返る機会を作るのはとても上手だと思うのです。ただし、意味のある内省をするべきであって「平成ってこんな時代だったね」という懐古で終わらせるのではなく「それをどう活かすのか?」という議論が必要です。

伊藤:僕はいろんな業界で常によそ者、新参者の立場で仕事をしています。ポジションが上がれば上がるほど、違う業界に行くと敵が多くなる。しかしそのように渡り歩いて思うのが、今の若い世代は、異物に対する許容レベルが高い。僕はその感覚を消して欲しくないなと思いますね。

残念ながら日本はこの先何十年にもわたって世界の中心になることはないでしょう。我々みたいな人間が奮闘しても、日本が変わるのには恐らく数十年かかってしまう。だとすれば、自分の感覚をこの国にあわせるのではなくて、グローバルスタンダードに広げなければならない。さもなければ、未来には滅亡しか待ってないと思います。ガラパゴスって言葉もう使い古されていますけど。

文=伊藤嘉明

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