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2019.06.02

出張先の空気に注意 アジアや中東で危険な大気汚染進む

Gettyimages

デリーやカイロ、北京、リヤド、ジッダ、ドバイなど、急速に成長を遂げるアジア・中東の大都市に出張する人は、小さい粒子をほぼ除去することで肺を保護するマスクの持参を考えよう。2日以上の滞在を計画している場合、マスクをいくつか用意した方がよいかもしれない。

もちろん、出張に向かう人が多いこうした都市に就航する航空会社や予約したホテル、地元の観光推進局やグループは、マスクを持参することを自発的に提案しないだろう。しかし、オランダ・ユトレヒトを拠点とし、年間売上高260億ドル(約2兆9000億円)を誇る出張管理企業BCDトラベルは、顧客企業の出張者数十万人にマスクの持参を勧めている。

BCDは先日、出張者が特に多く訪れる世界の都市のうち空気が安全な水準にあるのはわずか半数だとする調査を発表した。その他の半数の都市や人気の出張先の多くでは、大気汚染の水準が「健康問題の可能性あり」か「危険な可能性あり」と評価されている。

大気汚染の問題は、ほとんどの出張者が考えているよりも広くまん延している。世界の出張者に人気の旅先トップ10の中で、世界保健機関(WHO)により空気が清浄な都市と評価したのはサンフランシスコ、ニューヨーク、(そして驚きではあるが)フィラデルフィアのわずか3つだった。トップ10のうち6つの都市は、WHOにより「中程度の」大気汚染があるとされた。

トップ10の中で、大気汚染が危険な水準にあるとWHOが評価した都市は上海のみだった。同市の2018年のPM2.5スコアは平均45で、サンフランシスコはわずか8だった。

WHOの環境科学者らは、2.5マイクロメートルより小さな粒子状物質の量を世界中の都市で測定。BCDはその後、同社が旅行管理サービスを提供する顧客の間で特に人気が高い出張先100都市におけるこうした物質の数値を比較した。

硫酸塩や硝酸塩、黒色炭素などの汚染物質を含むPM2.5の粒子は、人間の髪の毛の100分の1の以下の厚さと非常に小さく、気管や肺の奥深くまで入り込んで健康問題を引き起こすことがある。PM2.5は、有害な有機化合物や自動車の排ガスの重金属、ゴミの焼却や埋め立て、金属の精錬や処理などから発生するものだ。
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翻訳・編集=出田静

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