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さらに成田空港に強固なベースを築いていた日本航空と米デルタ航空は、羽田の施設が二重投資になるのではないかという心配があった。このような既得権勢力は、羽田空港が国際化するとしても路線は近距離国際線(具体的にはアジア路線)に限定されるべきだ、と主張した。

これに対して羽田空港のより自由な活用を求める経済界や学者は、次のように主張した。

成田空港は騒音問題から離着陸時間に(午後11時から午前6時まで原則禁止という)制限があることから、羽田空港の少なくとも深夜早朝時間帯に離着陸する国際線は成田空港を補完するものであって、競争するものではない。さらに東京が国際金融都市として地位向上を目指すのであれば、利便性の高い羽田空港の活用が必須であるから、相手都市までの距離に制限をつけるべきではない。

議論を重ねた結果、羽田の国際化(正確には「再」国際化)は、07年の第一次安倍政権の「骨太の方針」に基本的な考え方が明記された。そこには、「利用者の利便性にかんがみて、10年秋以降の昼間の時間帯の国際線を拡大すべきであると考える。特にアジアの首都や世界のビジネスセンターとの路線は、羽田にふさわしい路線であると解釈し、10年秋以降、早い段階で実現を図るべきである」と書かれているが、「羽田にふさわしい路線」には、ニューヨーク、ロンドン、パリ、フランクフルトが当然含まれることから、この文章で、近距離限定の主張を退けたのである。その後、08年5月の経済財政諮問会議で国土交通大臣による受け入れが表明されて、決着した。

20年開催の東京オリンピックに向けて、さらなる羽田空港の国際線発着枠の拡大が計画されている。そのために必要な羽田空港離着陸ルートの新設も計画されている。ますます訪日観光需要が伸びて、日本経済の成長に貢献してくれそうだ。

文=伊藤隆敏

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