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Google Code Next Lab (kurani提供)

シリコンバレーをベースに世界で活躍する建築家、デニッシュ・クラーニは、グーグルやオンライン教育で有名なカーンラボアカデミーなど最先端テック×学びの場の新しいデザインを続々と世に生み出している。鮮やかで明るい色使いや生徒や子どもたちが主体的に学べる細やかな配慮が随所に施され、その場にいるだけで楽しくなるようなデザインが目を引く。

人生100年時代の働き方と学びにフィーチャーした『フォーブス ジャパン6月号(4月25日発売)』にあわせ、スタンフォード大学で教育と建築について教える教育者でもあるクラーニに「学びとデザインの哲学」についてインタビューした。


建築家 Danish Kurani

──テクノロジーの進歩とともに教育も変化する中、学校のデザインは時代遅れになっていると指摘されています。

米国では1950年代、60年代に戦後のベビーブームが訪れ、多くの学校が建設されました。それから70年が経過し、教育だけでなく世界が劇的に変化を遂げました。

もちろん教師の質の改善や、カリキュラムの変更、テクノロジーとの融合などさまざまな教育改革が行われて、それらは大変素晴らしいものですが、忘れられがちなのが物理的な空間の問題です。教師もカリキュラムもテクノロジーも、物理的な空間があって生かされるものです。時間やお金を投資した教育改革の成功の鍵は、物理的な空間が握っていると思います。

多くの建築家は最近の教育現場をほとんど知らないまま学校のデザインをしていました。彼らの知っている教育といえば、10年以上も前に自分たちが通っていた学校で行われていたものです。

教育の内容や学校に集う人はどんどん変わっています。現在行われている教育を熟知し、さらに将来の変化の可能性も視野に入れられる建築家が求められています。また、教育界だけでなくその周囲にある社会的、文化的、経済的な変化が将来の教育にどのような影響を考慮することも必要です。

私はハーバード大学大学院で数年間、教育分野の学生に教えていました。様々な教育者を授業に迎え、現在の教育における問題点や彼らのインスピレーションの源、改善の方法などについて聞き、物理的な環境によってどのようにサポートできるのかを話しました。彼らも学びの場の変革を望んでいます。

典型的な学校建築のプロセスでは、「教室が何個必要か」と依頼主に聞くところから始まりますが、私たちの場合は「教室は必要ですか」とまず尋ねます。教室はあって当然と考える人が多いかもしれませんが、すべての学校に教室が必要とは限りません。

もし答えがイエスなら、全部同じ教室にしますか、もしくはそれぞれ違う教室にしますか、と聞きます。教室とはあなたの学校においてどのような意味を持ち、どのような教室が必要になっているのか、クリアにしないといけない。

建築家は、これまでの学校が慣れ親しんだデザインに挑発して、挑戦することが仕事なのです。人々は自分たちが知らないということを知らない、つまり、自分たちに何が必要なのかをわかっていないものです。だから建築家が無意識の制限を取っ払って、本当に必要なことを暴き出さないといけない。

私の建築チームは米国内の各地、そしてヨーロッパなど世界中から人材が集まっているので、グローバルな視点を持ち込み、自分たちの地元しか知らなかった教育現場の可能性を押し広げることもできます。

文=成相通子 写真提供=kurani

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