テクノロジーはほどほどに? シリコンバレー発、新しい学校のデザイン

Google Code Next Lab (kurani提供)


──学校とテクノロジーの関係についてどうお考えでしょうか。

テクノロジーを学校のデザインに組み入れることはとても重要ですが、テクノロジーの進歩の速度はあまりにも速いので、一つのテクノロジーにフォーカスして学校建築に組み入れるのはよくありません。かつては100年、200年と同じような生活をする時代が続いていましたが、今では1年単位で大きく生活が変わっています。一つのテクノロジーに依存するとすぐに時代遅れになるでしょう。

また、テクノロジーは賢く利用すべきですが、使いすぎるのもよくありません。携帯電話の画面を消して、外で物質的な世界と関わることは健康的な生活に不可欠です。

現代では同じ学校建築が何十年もうまく機能を果たすのは難しいでしょう。なので、莫大なお金をかけて100年以上持つようなものを建てるよりは、安く簡単に建て替え可能なものを建てるというアプローチの方がいいとアドバイスしています。高額で撤去にもお金がかかるハイテク機器を導入するよりも、もっと簡単に安く速く導入、変更できるものの方がいいでしょう。

一方で、教育において変わらない要素もある。例えば子供には善良な人になってほしいし、友人と意見を交換したり、1人で学んだりできてほしいと思いますよね。そういったことは普遍的で変わらないことです。教育の具体的な内容や、教える人は変化するもので、それをもとにデザインを考えるべきではありません。もとスマートに長期的に変わらないものにフォーカスして考えるべきでしょう。


ダニッシュ・クラーニ◎建築事務所『クラーニ』のディレクター。ハーバード大学大学院卒。ハーバード大学やスタンフォード大学で講師を務める。主な著書に『Recalibrating the K-12 Urban Campus』(ハーバード大学出版)など。オンラインスクールで有名なカーン・ラボ・アカデミーのカリフォルニア州マウンテンビューの学校や、グーグルのコミュニティ教育スペース「グーグル・コード・ネクスト・ラボ」、グーグル本社内にあるハワード大学のサテライト・キャンパスなど、多数の学校やキャンパス、学びの場の建築デザインに従事。好きな本は『Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life』。

文=成相通子 写真提供=kurani

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