だからこそ、テニスプレーヤーのセリーナ・ウィリアムズの「発表」は、非常に異例のものだったと言える。
ウィリアムズは自身のインスタグラムのアカウントで先ごろ、2014年にベンチャーキャピタル「セリーナ・ベンチャーズ(Serena Ventures)」を立ち上げていたことを明らかにした。投資したスタートアップは30社を超え、それらの時価総額は合計120億ドル(約1兆3400億円)に上るという。
ウィリアムズは投稿の中で、「多様なリーダーシップや個人のエンパワーメント、創造性、そして機会を重視する企業」に投資してきたと述べている。これは、ウィリアムズが社長を務めるセリーナ・ベンチャーズの企業理念でもある。
投資先の企業が手掛ける事業は、非常に多岐にわたる。スマートフィットネスマシンのトーナル(Tonal)や低所得層向けに金融サービスを提供するプロペル(Propel)なども、それらの企業に含まれる。
また、ウィリアムズはセリーナ・ベンチャーズのウェブサイトで自社の事業について、次のように説明している。
「セリーナ・ベンチャーズは、資金調達が難しい初期段階の企業を重視し、彼らに(事業に関する)説明の機会を提供している…投資先企業の間の関係を深め、協力を促し、私の幅広いネットワーク全体において、提携の機会を増やしていきたい」
「私たちがこれまでに投資してきた多くの企業と同様に、私たちもまだビジネスを始めたばかりだ。そして、私たちは変化をもたらしたいと考えている」
ウィリアムズは今年3月、米出会い系アプリ「バンブル(Bumble)」が創設した「バンブル・ファンド」に出資することを明らかにしたばかりだ。このファンドは、「初期段階にある企業、有色人種の女性や少数派の起業家が率いる企業を支援する」ものだという。
グランドスラムで23回の優勝を誇るウィリアムズは、テニスで前例のない成功を収めてきた。そして、コートの外における競争でも、一歩先を進み続けているように見える。素晴らしいキャリアも全て、やがて終わりを迎えることを理解しているのだ。
ウィリアムズがセリーナ・ベンチャーズ存在を公表したことで、同社は今後、さらに多くの機会に恵まれることになるだろう。
同社はこれまでに、米仮想通貨取引所コインベースの他、オンライン学習プラットフォームのマスタークラス(MasterClass)、サプリメントやスナックバーなどを販売するオリー(Olly)などに投資している。各社がすでに、セリーナ・ベンチャーズに大きな利益をもたらしていることは間違いない。