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利益と人材のはざまで

米小売業界では昨年、10社以上が破産を申請した。シアーズ、ディーゼル、ビューティー・ブランズ、マットレス・ファームなど、多くの企業が破産により再編の取り組みを始めたり、あるいは消えたりしている。

ウォルマートは株主に対し強い責任を負っている。新たな技術の活用を決定した理由はビジネス上のものであり、従業員はそれに順応しなければならない。

在庫問題への対応が急務

ウォルマートなどの企業が利用する在庫管理ロボットを製造する企業ボッサ・ノバ(Bossa Nova)の委託で行われた最近の調査では、売上高5億ドル(約560億円)超の小売企業の役員100人から集めたフィードバックから、99%の企業で在庫関連の問題があることが分かった。調査では、次のような発見があった。

・回答者の87%が、不正確な在庫情報は万引きよりも大きな売り上げ減少につながっていると答えた。
・92%が、自分の店では問題の解決策導入よりも在庫問題の特定に多くの時間を費やしていると答えた。
・81%が、新たな技術が利用可能であるにもかかわらず、自分の店では技術面で何とかついて行けている状態か、遅れをとっていると感じると答えた。

そして最も目を見張るのは、次の点だろう。

・76%が、店舗へのロボット導入により、従業員の生産性が改善すると答えた。

利益幅が縮小し窮地に追い込まれる小売業者が生き残るためには、イノベーションが必要だ。さらに、人間のキャリアに対する影響も過小評価はできない。人がやりたがらない床のモップがけのような仕事をロボットにさせること、在庫問題のような重要なビジネス課題をより効率的に解決すること、人間的な要素を考慮することのバランスが必要だ。ウォルマートが利益確保のため技術の活用を進めているのは驚きではないが、ロボットが店内や貨物積み降ろし場に配置されるとどのような人的影響があるのだろうか?

ボッサ・ノバの共同創業者、マーティン・ヒッチは、新たなロボットは顧客に受け入れられていると語っている。ヒッチはロボット情報サイトのロボティックス・ビジネス・レビューに対し「買い物客は2週間、あるいは最大でも4週間で、機械が自分の周りを動き回ることを受け入れるようになった」と述べた。一方で、従業員の反応については、はっきりとしたコメントはない。

好き嫌いにかかわらず、自動化の機会は増えている。フォーブス寄稿者のバーナード・マーが12月に掲載した記事によると、透明性のある人工知能(AI)が業務プロセスの一部として組み込まれる事例は全産業で増加している。米調査会社ガートナーが最近行った調査では、ソフトウエアの自動化によって180万の仕事が失われる一方、新たに230万の仕事が創出されるとされた。

予測については別として、小売分野にロボットがもたらす最終的な影響はまだ明らかにはなっていない。電子商取引の人気が上がり続けていることで、実店舗業態はここ最近打撃を受けている。一方で、ロボット工学分野が衰えを見せる気配はない。

編集=遠藤宗生

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