ビジネス

2019.04.25

日本初の「バンライフ」プラットフォームへ 車中泊シェアのCarstayがサービス強化

CTO /最高技術責任者のTran Van Sang、CEO/代表取締役の宮下晃樹、CSO / 最高営業責任者の岩本舜夫

車中泊スポットのシェアリングサービスを手がけるCarstayは4月25日、シードラウンドでライフタイムベンチャーズ、メルカリの原田大作から約3000万円の資金調達を実施したと発表した。資金はフロントエンジニアの人員確保およびサービス強化に充てる。

同社は2018年6月に創業したスタートアップ。提供するのは、全国各地に点在する駐車場や空き地などの保有者と手を結び、車中泊スポットとして旅行者に一台あたり500円からの価格で貸し出すサービスだ。

旅行者は、宿泊拠点に加えて、トイレ、温泉、スーパーなど周辺施設や、地域の文化体験の情報をスマートフォンで調べたり、予約したりすることができる。決済はオンライン上で完結。三井住友海上火災保険の「車中泊保険」が追加料金なしで自動付保されるため、設備の破損や利用中の怪我など万が一のトラブルが生じた際も賠償責任は補償される。

CEO/代表取締役の宮下晃樹が、車で海外の友人を観光名所に案内した時の実体験をきっかけに生み出した。日本の車中泊人口は100万世帯といわれ、キャンピングカーの普及団体である日本RV協会によると、17年の国内キャンピングカー保有台数は10万6200台で05年から倍増。宿泊費を抑えながら、時間を気にせず自由に移動して、快適に旅行するための手段として、車中泊の利用が注目を浴びている。

その一方、これまで利用者にとっては、安心・安全に宿泊できるスポットや設備の情報が不足していた。宿泊できる場所がわからず、不安な夜を過ごす旅行者も少なくない。車中泊が可能な道の駅やキャンプ場では、マナー違反も社会問題化している。

例えば、利用者が駐車場にテーブルを出して炊事や食事をしたり、施設内のトイレで洗濯をしたり、ゴミを放置したりといった具合だ。Carstayは、地域に眠る未使用の空き地や駐車場に新たな活路を見出し、こうした課題を解決。加えて、これまで旅行者が訪問しにくかった地域の観光スポットや魅力の再発掘にも寄与する。

サービスは19年1月に開始し、現在は34都道府県120スポットをカバー。宮下は、「実際にサービスを提供してみると、車を保有していない消費者の方からも、車中泊を体験してみたいという声を多くいただいた」と話し、宿泊拠点の確保、体験の予約に加え、旅の計画づくりや車の手配といった新サービスの開発に意欲を示す。
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文=眞鍋武

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