2008年、新型のFIAT500の発表時に登壇するティツィアナ・アランプレセとモンキー・パンチ
「オープンハートで優しい人」
「ルパン三世」はFIATの本場イタリアでも人気アニメ。FCAジャパンには、モンキー・パンチと会うことを夢見て、数々の仕事を共にしたイタリア人女性がいる。
マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセだ。先述の「ルパン三世 カリオストロの城」をきっかけに、イタリア国内でもルパンの愛車がFIATであることが大きな話題になったという。
ティツィアナはその「FIAT500」の新モデルをローンチするため05年に来日。「FIATのリスタートの時に、ぜひルパンとの友情を表現したい」と、その2年後からモンキーにアプローチをし始めた。
彼に思いを伝えると、「ぜひFIATと一緒に色々やりましょう」と快諾してくれた。
モンキーの最初の印象は「優しくて、いつもスマイルが素敵な人」だった。ティツィアナは、「ルパン×FIAT」のコラボレーションを実現すべくライセンシー関係の調整に動いたが、大変な時でもモンキーに会うと、「明るくて、強いエネルギーをもらえた」と振り返る。
08年2月22日、新型の「FIAT500」を発表するプレゼンテーションでは、モンキーと共に登壇した。モンキーは新型モデルにも興味津々で、ローンチに合わせて新型車に乗るルパンのイラストを描き下ろしてくれた。同年、都内に「フィアットカフェ」がオープンした際には彼が特別に描いたイラストをパネルにして展示した。
その後も伊勢丹新宿店で行われた企画「ISETAN×ルパン三世」などでも声が掛けられ、昨年もFIAT500を展示するなど、ルパンとFIATの蜜月関係が続いた。
最後にティツィアナがモンキーに実際に会ったのは15年。いつものようにハグをして挨拶をした。多くのファンに囲まれても「親切で謙虚だった」と振り返る。
今月モンキーが亡くなったことをニュースで知り、ティツィアナは「オープンハートで優しい彼のことを思い出すと、本当に寂しい」と話す。
新型FIAT500のローンチの時にプレゼントされた、ルパンとおしゃべりする自身のイラストを今も大切にしている。
「モンキーさんはモダンなことが大好きで、いつも次の新しいことを考えていた。私たちにはルパンとの友情を大切にする責任があり、これからもコラボレーションを色々とやっていきたい。そして、素晴らしい作品を作った彼はいつまでも私たちの中で生き続けるでしょう」
FIATに乗り、ルパンとおしゃべりする自身のイラストのプレゼントを今も大事にするティツィアナ(筆者撮影)