フォーブス ジャパン編集部 エディター

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ウーバーやリフトといった配車アプリが登場したことで、タクシー業界は激変した。今やスマホアプリを立ち上げ、目的地を入力すれば、空いているタクシーとマッチングされる。

利用者は手軽に目的地に辿り着くことができ、タクシーの運転手は稼働率を高めることが可能となった。そうした動きは自動車業界などでも巻き起こる一方で、アナログな運用が続くレガシーな業界も存在する。それが貸切バス業界だ。

日本国内には約4500社の貸切バスの会社があり、約5万台の貸切バスが存在するが、実働率は48%にとどまる。半分以上の貸切バスが使われていないことになる。

こうした貸切バス業界の非効率な現場を解決しようとしているスタートアップが、ワンダートランスポートテクノロジーズ(以下、WTT)だ。同社は4月23日、貸切バスを使ってバスツアーを簡単に作成し、販売できるツアープラットフォームサービス「busket(バスケット)」をリリースしたことを明かした。



貸切バス会社との関係構築に努めた1年間

WTTの創業は2012年11月。代表の西木戸秀和はもともとDJで、過去に音楽体験をワンクリックで購入できるアクティビティコマース・マーケットプレイス「BANANA」を開発した経験を持つ人物。

「BANANA」を運営していた当時、旅行会社と連携して野外フェスなどのツアーを企画していたが、移動する際の貸切バスの手配が非常に面倒だったという。そのときの課題感が、busketの開発につながった。

「当時、旅行業免許を持っていなかったので、貸切バスの仕入れは旅行業免許を持っている旅行会社に任せるしかなかった。ただ、あまりにも貸切バスを仕入れる手続きが面倒でアナログだったので、自分たちで旅行業免許を取得し、この体験を変えたいと思ったんです」(西木戸)

とはいえ、スタートアップが突如、旅行業免許を取得し、貸切バスツアーをオンラインで企画できるようにしたとしても、貸切バス会社が協力してくれる保証はない。「オンライン」という言葉を聞いただけで、業界の敵として認知されるかもしれない。

そうした点も踏まえ、西木戸はまず貸切バスの見積もり、手配をオンラインで手軽に行えるサービス「busmarket(バスマーケット)」を2018年4月の旅行業免許の取得とともに展開することを決めた。

「これまでは貸切バスを手配しようと思ってオンラインで見積もりの依頼をしても、詳細は電話でやり取りすることになったり、見積もりの詳細が出てくるまでに48時間くらいかかったりする。とても非効率で手間がかかる作業だったんです」(西木戸)

まずはここに目をつけ、24時間いつでもオンラインで貸切バスの見積もり、手配を行うことができ、決済もオンライン上で完結できるようにした。

また、西木戸は「busmarket」を展開するにあたって、貸切バス会社の負担を減らす仕組みも用意。見積もりをWTT側で算出し利用者に提供することで、貸切バス会社は確定した運行案件の可否のみを判断するだけで良い。運行申込書や指示書など必要な帳票類を自動で作成するほか、案件情報をオンラインで効率的に管理できるようにした。

貸切バス会社へのメリットも考慮することで、国内の貸切バス会社との協業が続々と決まっていき、現在は、大手のバス会社からローカルなバス会社まで、全国で200営業所、8000台を超える貸切バスのネットワークを構築している。

すぐに貸切バスの手配が行えるようになったことで、面倒すぎるが故にこれまで途中で貸切バスの手配を諦めてしまっていた人たちも、手軽に貸切バスを手配できるようになった。

2018年の1年間は貸切バス会社との関係構築に努め、協業先を増やしていく──そこにフォーカスし続けたことで、貸切バスの手配を手軽にする土台が構築された。

文=新國翔大

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