ニューヨーク在住ジャーナリスト / NYC-based Journalist


──「ディスラプション(創造的破壊)の4騎士」とマイクロソフトの違いは?

あなたは著書の中で、アジュールや、マイクロソフトが16年に買収した米ビジネス向け交流サイトのリンクトイン、ソフトウェア開発者向けプラットフォームの米ギットハブ(昨年、買収)に言及しています。そうしたサービスが成長のカギなのでしょうか。

まず、違う点だが、4騎士は、消費者向けテックや、(SNSなど)メディアのエコシステムに深く入り込んでいる。彼らにとって、他社を寄せ付けない最強の盾は拡大化だ。

一方、マイクロソフトも戦略的買収を行っている。リンクトインには手堅いB2B(企業間)広告収入があり、ギットハブは新ユーザー層を提供してくれる。また、マイクロソフトは、テック市場で最も成長が速いクラウド事業を先導している。18年第3四半期の売上高は、アマゾンウェブサービス(AWS)が66.8億ドル、アジュールは85億ドルだった。

──マイクロソフトは「第5の騎士」になれると思いますか。あなたは著書の中で、ビル・ゲイツやスティーブ・バルマー前CEOを好感度が低いと分析する一方、サティア・ナデラ現CEOは、「マイクロソフトの歴史に新たな命を吹き込んでいる」と評価しています。

すでに第5の騎士になっているという声も多いが、同社の収益の大半はB2B製品・サービスに起因し、ビジネスの理性的な側面に訴えかけるものだ。フェイスブックのニュースフィードやアマゾンの音声アシスタント「アレクサ」と違い、マイクロソフトには消費者の愛着がほとんどない。

とはいえ、テック大手は昨年、スキャンダルまみれだったが、マイクロソフトは無傷だった。年間最優秀テックCEO大賞はナデラCEOに送られるだろう。有能で責任感あるリーダーとして、会社やユーザーが面倒に巻き込まれないよう守り、指導力と知見でマイクロソフトを米国屈指の企業に変身させた。フェイスブックの指導層とは対照的に、株主だけでなく、消費者や社会の安全にも留意していることを示し、同社に対する世間の信頼を勝ち取った。

──あなたは著書の中で、GAFAが支配する勝者総取り時代を生き抜くためのキャリア戦略を指南しています。起業家や経営者へのアドバイスは?

この40年で米国の起業数は半分になったが、特に過去10年間の凋落が顕著だ。昨今、起業家の間では、「アマゾンやアップル、フェイスブック、グーグルと競うつもりはないが、いい買収話に乗りたい」という声が増している。大企業に買われれば、競わずして巨額の資金を手にできる。一方、いかなる優れたアイデアも(4騎士の前には)歯が立たない。

こうした時代に、まず起業家がすべきなのは、人前で失敗しても平気か、どれだけリスクを取れるか、宮仕えでなく、人を使うことに自信があるか、自分自身の適性を見極めることだ。

一方、経営幹部には敏しょう性が求められる。物事が行き詰まったら、潔く発想を変えることが必要だ。今や超優秀な人材は、あらゆるチャンスをものにできる時代である。従業員の履歴書に付加価値を与えられるような、エキサイティングな環境を構築できるかどうかは幹部の腕しだいだ。


スコット・ギャロウェイ◎ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。ブランド戦略とデジタルマーケティング専門。連続起業家として9社創業。ニューヨーク・タイムズなどの役員も歴任。著書に『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社)。

文=肥田美佐子

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