「男性に妊活のタイムリミットはない」という勘違い

セミナーに登壇した産婦人科医の宋美玄


「男性にタイムリミットはない」という勘違い

一方で芸能人が60歳でもお父さんになったなどのニュースを見て、男女の間でも「男はいつまででも大丈夫だよね」と思っている方も多くいます。しかし、加齢とともに精子の状態も悪くなります。

女性ほど大きな影響はありませんが、男性も年齢とともに妊娠をさせづらくなります。精液の量も減るし、精子の運動率も減ります。たくさんお子さんがいらっしゃる方でも、年齢が上がると精液の所見が悪くて不妊治療をされた方もいます。

つまり、タイムリミットは男女ともにあるということです。

男性の検査では、出した精液を顕微鏡で見て、ちゃんと卵管の中を泳ぎ切れるような運動率であるか、濃度は足りているかなどの検査なので、身体の負担は女性と比べると少ないです。しかし、病院で容器をもらって提出するというのは精神的に大きな負担のようで、相手が精液検査を受けてくれないまま時間が経って今度は女性の方が高齢と言われる年になってしまうというのはよくある光景です。


講演に聞き入るメディア関係者

妊活は「ふたり」でやろう

妊活は女性が一人でやるものではなく、夫婦で協力していくことが大事です。妊活の時間短縮にもなりますし、夫婦関係にも良い影響があります。今まで妊活というと、女性が基礎体温を測ったり、排卵日を予測したり、「あなた、今日がチャンスよ」と言って夫に「うざがられ」たり、体にいいものを食べたりという女性主導のイメージでした。

しかし、WHOの調査では半分くらい男性側にも原因があると発表されました。この原因は精子だけではなく、勃起や射精など性機能にも関係すると言われています。そして、男性の100人に1人が無精子症と言われています。男性と女性がふたりで向き合う必要があります。

また、妊活ジェンダーギャップ調査の抜粋なんですが、やはり妊活はいいことばかりではありません。生理がくるたびにがっかりしたり、がっかりした妻の姿を見て、夫がプレッシャーを感じたり……。これらの困難に夫婦で一緒に取り組むことで、めでたく授かった場合、育児をするときも両方が当事者意識を持ちやすくなります。そうした未来を見据えても、夫婦で妊活に参画するのがいいかなと思います。

文=井土亜梨沙 写真=株式会社リクルートホールディングス

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