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こゆ財団代表理事の齋藤潤一

Forbes JAPAN 5月号(3月25日発売)では、多拠点生活や移住、地域活性を目指す「越境イノベーター」のヒントになる事例にフィーチャー。クラウドファンディングやアプリを活用することで、共感できる人と出会い、自分のアイデアを実現しやすくなってきた。

宮城県新富町の活性化に取り組む「こゆ財団」代表理事の齋藤潤一に、「仲間づくり」のこつを聞いた。


──米国シリコンバレーのITスタートアップでの経験を生かして、宮崎県新富町の活性化に取り組んでいらっしゃいます。まず、こゆ財団について教えてください。

こゆ財団は、宮崎県児湯郡新富町が観光協会を解散し、2017年に設立した地域商社です。「世界一チャレンジしやすいまち」というビジョンと「強い地域経済をつくる」というミッションを掲げています。

特に注力しているのは、ひと粒1000円の国産ライチなど特産品をブランド化し、その利益を投資して起業家育成塾などに役立てること。ふるさと納税の委託事業の実績(17〜19年)は、約4億円から20億円に伸びました。

こゆ財団では100人採用しようと求人募集をしているのですが、すでに全国から約200人近くの応募があります。今年4月からは、6人の新しい仲間が加わりました。東京の有名カフェの店長、ワインバーのソムリエ、上場企業社員、福岡の新卒生、地域コンサルタント、組織開発のプロと多種多様なメンバーが入り、新たな活動が始まっています。

──齋藤さんは大阪出身ですが、新富町の人たちにはすぐ受け入れられましたか。

私は元々シリコンバレーのIT企業でブランディング・マーケティング責任者をしていました。帰国後の2011年、東日本大震災がきっかけで地域課題を解決するソーシャルビジネスに注力しています。

最初は宮崎県に行った際に、たまたま見つけた日南市の飫肥杉(おびすぎ)の工芸品に魅力を感じ、クラウドファンディングを活用し、世界に広めるプロジェクトを始めました。これを縁に、特産品のブランディング事業を手がけるなど、地元の人たちからも声が掛かるようになったのです。

とはいえ、こゆ財団の設立当初、町役場の元職員であるメンバーたちは、私の起業家精神に戸惑ったみたいですね。ミッションは「強い地域経済をつくる」と掲げましたから。ですが、一念発起したメンバーが町の商店街の賑わいを取り戻そうと、「こゆ朝市」などを企画すると、2年間で約1万人が訪れました。少しずつ結果が出て、メンバー自身も活動に引き寄せられていったようです。

実は、ひと粒1000円の国産ライチのブランド化は先鋭的な取り組みで、進めば進むほど軋轢が生まれました。そんな時は、地元出身の理事や事務局長らがこまめに説明会や座談会を開き、関係者の理解を求めました。

物事を一気に進めようとすると失敗します。地域の多様性を認め、共存共栄のエコシステムづくりが大切だと思います。

──共感できる「仲間」を増やすこつがあれば教えてください。

講演会などでよく「どのように周りの人を巻き込みますか」と質問をされますが、私は「巻き込もうとはしません」と答えます。意図が見えてしまうと、人は共感しません。それよりもビジョンとミッションに対して愚直に行動することで、人は自然に巻き込まれ、結果として仲間になるのだと思います。

私自身、未熟ながら、シリコンバレーで働いていた時は仲間意識が低かったのですが、帰国後にクラウドファンディングを始めたのを機に考え方が変わりました。「地域と仲間のために何ができるか」を考え、行動することで全国に仲間が増えています。

文=督あかり

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