人生100年時代のライフデザインを考える──長寿時代のライフマネジメント

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若者の非婚化や晩婚化などにより、子どもが成人後も親と同居するパラサイト化が進み、親による子の扶養期間が長期化している。そのために老後に想定以上の資金が必要になることもある。また、子どもの引きこもりや非正規雇用による経済的自立の遅れが、子ども世代だけでなく親世代にまで大きな影響を与える可能性があるのだ。

長寿になると死別や離別を経験する高齢者も多く、ひとり暮らしで長く生きなければならない人も増えている。生涯独身で過ごす生涯未婚男性も既に2割を超えた。たとえ健康面や経済面で恵まれたとしても、ひとり暮らしの高齢者は、地域や家庭という居場所を失い、社会から孤立するリスクもあるのだ。

長寿時代を幸せに生きるために

最近、「終活」という言葉をよく聞くようになった。「終活」には、大きくふたつの意味がある。人生の最期をどうするのかという“エンディング”としての「終活」、もうひとつは人生の最期までをどのようによりよく生きるのかという“ウェルエイジング”としての「終活」だ。

その背景には、長寿化により人生にあらたなリスクが加わり、幸せに暮らすためのライフマネジメントがより重要になってきたことや、ひとり暮らしが増えて最期を託す人がいなくなり、生前から葬儀や相続など死後の対応を考えておくことが必要になっていることがある。

本来、高齢化とは長寿化であり、日本がようやく手に入れた戦後の輝かしい社会的成果とも言える。長寿社会にはあらたな課題も多いが、退職後の長い人生はまさに黄金の収穫期なのだ。今、われわれは定年後を幸せに生きるためのライフマネジメントが求められている。

本連載では人生100年時代のライフデザインを考えてみよう。1. 雇用と労働、2. 健康と医療・介護、3. 幸福と生きがい、4. 家族やひとり暮らし、5. 地域とのつながりなどについて、長寿社会を幸せに生きるためのヒントを探っていきたいと思う。

文=土堤内昭雄

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