ダライ・ラマの担当医、バリー・カーズィンが考える「幸せな生き方」

ダライ・ラマの担当医、バリー・カーズィン(Getty Images)


共感力を身につけるための7つの心

バリー先生からは、人生を豊かにする「7つの心」について教えていただきましたが、現在の忙しい社会で忘れていることが多いと実感します。かつてヨーロッパ発のスローフードなど、人生のペースを少しゆっくりしようという活動がムーブメントになりましたが、これらの気持ちを育てるためには、少し余裕を持った生活を心がけたいところです。

7つの心

与える心:笑顔から、ドアを開けてあげたり方角を教えてあげるといった日常的なことから、アドバイスをあげたり、物を共有したりと優劣なく与える気持ち。

傷つけない:「ワザと他者を傷つけない、自分を傷つけないことの大切さ。300年間インドを占領したイギリスを、ガンジーガンディは非暴力の方法で追放したのです」と、ガンジーを例に挙げていました。

寛容で尊敬する心:相手の意見に反対してもいいが、必ず尊敬の念を持つこと。

マインドフルネス:意識が分散しがちな我々の脳を、集中によって制御することを学べる。

感謝の気持ち:次の呼吸ができることに感謝する、あるいは桜や○○といった身近なものに感謝する、そして、隣人への感謝の念など。

赦す心:これは自分一人でできる。傷ついた感情を手放すことで、心がすっきりする。

気づき/インサイト:我々は何者か? といった問い自体を探求し、インサイトに繋げていく。

この7つの心には、全て思いやりや慈悲の心が現れているといいます。仏教の「空」や「智慧」の考え方に近く、その世界はまだまだ未知の領域なのですが、個人的にも身につけていきたい7つの教えです。

「我々はみんな光を放っているのです」

最後に先生はこう仰いました。先生は、穏やかでかつエネルギッシュなオーラ、ある種の光を感じる方でした。

「タフな状況の時ほど試練に立ち向かえるのが、日本人のすごいところですよね」と明るく話される先生は、ご自身が多くの辛い経験を乗り越え、修行を重ねて今のような輝きを持っているからこそ、明るい中にも一言一言に重みと背中を押す力を私たちに与えてくれるのだと感じました。

文=竹村詠美

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