一方、その過ごし方によっては、連休は私たちの身体と脳にとって、マイナスの意味での非日常ともなりえます。特に、起きる時間や寝る時間が変わることで体内時計が平日と大きくずれ、それが休み明けのだるさやパフォーマンス低下につながります。海外旅行による時差ボケも、同じように体に影響を与えます。
今回は連休を充実させると同時に、身体に負担をかけず、休み明けも仕事でいつも通りのパフォーマンスを出すための「睡眠の技術」を紹介します。
体内時計の仕組みを理解する
まず体内時計の仕組みについてご説明をします。私たちは起床して光を浴びることでその刺激が脳に伝わり、体内のリズム(体内時計、専門用語では概日リズム・サーカディアンリズムと呼ばれます)がスタートをします。さらに、この光を浴びる行動は体内時計をリセットするだけではなく、就寝前に自然な眠気を作るという意味でもとても大切です。
9時に出社するビジネスパーソンの例を想定すると、6時に起床して光を浴びると、そこから徐々に脳が覚醒し、13時くらい(起床後7時間後)に眠気が来て、さらに22時(起床から15時間後)くらいに再度眠気が現れます。
よくランチ後に眠くなることを睡眠障害と考えている人がいますが、この時間帯に眠くなるのは睡眠覚醒リズムの観点からすれば当たり前のことであり、そこまで深刻に考えることではありません。そんな時はしっかりと仮眠をとることで、午後の生産性をアップさせることができます。
この睡眠覚醒リズムは起きて光を浴びたタイミングから始まるので、起床時間がずれることは、つまり、このリズムをずらすことにつながります。
例えばいつも7時に起きているビジネスパーソンが、連休中は9時に起きる生活を10日間続けてしまうと、睡眠覚醒リズムが通常より3時間後ろにずれてしまい、そのまま連休明けの仕事に臨むことになります。すると体はまだ寝ている状態にもかかわらず強制的に起きなければならない状態になり、朝に強い眠気やだるさに襲われるのです。
連休でなくても、平日忙しいビジネスパーソンが週末に行う寝だめや二度寝にも同じ原理が働き、そのまま迎える月曜が「ブルーマンデイ」と呼ばれるのはそのためです。
それではどうやってこの10連休を乗り切れば良いのでしょうか? もちろん、連休中も平日と同様に規則的に生活をするのが身体と脳にとっては理想的ですが、せっかくの10連休に平日と同じ時間に起きるというのは現実的ではありません。
そこで本編では、連休にこそ有効な睡眠の技術をご紹介していきます。