地方の現場から見た教育の今

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学校の授業や大学の講義の単位数は、「1コマ、2コマ」と、「コマ」という単位を使って表現する。なぜ、コマなのか。それは、先生が実際に立体のコマを使って時間割(日課表)を作っていたから、その名残として使われているという説がある。

中学生の頃、職員室の廊下の壁に巨大なケースがあり、白い麻雀牌のようなものがたくさん並び、「数学・2-1・先生名」と一つ一つ書かれたコマがあったのを思い出す。そのケースが日課表になっていたので、それを見て次の日の時間割を確認することもあった。

中学校の教員になって、それをどう使うのか初めて知ることができた。

学校の中の係(分掌)のひとつに、「日課表係」がある。その名前のとおり、各クラスの日課表を年度当初に作るもので、若い先生の役割として、前年度分のコマに書かれている「文字落とし」の作業があった。クラス分のコマ・先生分のコマ(2種類の日課表を作るため)あわせて1000個以上を洗うので一仕事だった。一つ一つシンナーで消していたので、においでフラフラになったこともある。

4月は、新学期が始まりクラス開き・授業開き・部活動始め・職員会議・PTAなど行事や授業でびっしりと詰まっている。部活動が終わって暗くなってから、日課表係の先生たちが作業場となっている1人また1人休憩室に集まる。夜食をとってからベテランの先生が中心となって、「クラスごとの枠」「先生ごとの枠」を見比べ、条件一覧を見ながら科目、クラス名、先生名が書かれたコマを一コマ一コマ入れていく。

一クラス週29コマ×クラス数つまり各学年8クラスだと24クラスで696コマ。日課表を2種類作るので1392コマがぴったりとはまらないと完成しない。

条件として、
・特別教室(体育館・グラウンド・理科室・音楽室など)の教室数を超えないこと
・それぞれの先生が担当しているクラスがその日に重ならないこと
・クラスの一日の中でバランスがよいこと(5教科と実技教科)
・それぞれの先生の一日の中のバランスがよいこと(午前午後、学年が交互にならないなど)
・運営会議や生徒指導会議など固定された時間に参加する先生の授業が入らないこと

という基本的なことだけでなく、先生方から集めた個人の要望まで満たすようにするため、一コマ動かすだけではまらなくなるコマを1時間以上かけて一つずつ解消する、そんな作業を深夜まで毎日行う。それが日課表係の、毎年恒例で行う時間外勤務だった。

文=望月陽一郎

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