地方の現場から見た教育の今


ITが導入されてどう変わったか?

1990年代、コンピュータ室が学校にできると、さっそく「日課表作成ソフト」が導入された。

しかし、入力できる条件が限られていたり、細かな条件が入れられなかったりするため、進むはずのコマ入れが途中で止まってしまう。結局日課表係が一覧を紙に大きく印刷して床に並べ、手書きで一コマずつ入れ替えるようになった。

これをIT化と呼んでいいのか難しいところだが、少しは作業日数の短縮に貢献したと言えるだろう。

現在、そしてこれからの日課表づくりとは

若いころの日課表づくりは、このように大変な作業が伴うことはあっても、年度初めですべて終わるものだった。ところが最近では、「毎日日課表を変更する」のが普通になってきている。

かなり以前なら先生が出張したり、休みになったりすると「自習」にしていた。しかし今は年間実施時間数を消化するため(年間標準時間数 週29コマ×35週=1015時間を超えないといけない)、他の授業に置き換えて自習をしないようにしている。

だから、翌日の日課表を帰りの学活までに組み替えて各クラスに提示するのが、今の日課表係の仕事となっている。以前は4月だけの仕事だったのが、年間を通していつも日課表を調整しなければならないわけだ。

今でも日課表作成ソフトは使われているが、こういった細かな毎日の作業があるほか、非常勤講師がたくさんいると条件が複雑化して設定できないなどの問題があるそうで、今でも手作業での日課表づくりがあちこちの学校で行われているのが実態だ。これはソフトのアップデートが学校現場の複雑な変化に対応しきれていなかったり、取り入れられていない日課表づくりの細かな技(職人芸)があったりするためだろう。これもいまだ解消されていない「ITと学校現場のずれ」といえる。

また、学校の現場が求めているのは、「日課表“作成”システム」というより「日課表“管理”システム」だろう。

・年度初めの基本日課表の作成機能
・毎日の日課表の修正機能
・実施した時間の統計(これが必要なのは、他の授業と組み替えたら、入替の戻しをして実施時間をなだらかにしなくてはいけない)機能

を年間通して行える、現場の実態とニーズに合わせたシステムがあると、私の経験からもとてもありがたい。

そういうシステムがあれば、年間標準時間数を見据えながら毎日の日課表を入れ替え、そこに教科担任が準備物や課題を書き込み、クラスや生徒・保護者にデータで送信するのだ。学校でもこれからは1人1台タブレットになったり、スマホ持ち込みが許可されたりするだろう。ITを日常的に活用していくこれからの社会、いわゆる「Society5.0」※を見通すとそこまで機能を持った総合システムになると喜ばれるのではないだろうか。

※Society5.0:サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会

文=望月陽一郎

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