スウェーデンメディアの間では、麻薬犯罪に対する「ゼロ・トレランス(不寛容)」方針を疑問視する見方が出ている。スウェーデン政府が「健康と人権に基づいたバランスの取れた政策」と呼ぶ麻薬規制は北欧では珍しく厳格な内容で、スウェーデンはこの政策をめぐり国際連合からも批判されている。
同政策では、“ハード”な麻薬と“ソフト”な麻薬の区別をほとんどつけていない。また、警察は麻薬使用が疑われる人を拘束し、尿検査を強制することが許されている。
同国政府は「スウェーデンでは麻薬の私的使用と所持・販売の両方を禁止することで、麻薬がある程度公然と使用・販売される『開放的な麻薬の場』が生まれにくくなっている。麻薬の入手経路を体系的に減少させて麻薬の使用を防ぐ上で、これは重要な要素だ」としている。
隣国のノルウェーは2017年、麻薬使用の解禁に向けた最初の一歩を踏み出した。この方針は政府と複数の野党の支持を得ている。左派社会党(SV)の保健担当報道官、ニコラス・ウィルキンソンはタブロイド紙ベルデンスガング(VG)に対し、目標は「困窮者を罰するのをやめ、その代わりに支援と治療を与えること」だと説明。最終的には麻薬政策の管轄を司法から医療に移管することを目指すと語っている。
ニュースサイト「ザ・ローカル(The Local)」によると、スウェーデン議会の健康・福祉に関する委員会では、委員の多くが麻薬政策の再検討を支持。自由党、中央党、スウェーデン民主党、キリスト教民主党、左翼党はいずれも再検討に賛成している。