アップルウォッチは「買いだ」と思う理由

写真:AP/アフロ



 本日未明(日本時間)に行われた、待望のアップルウォッチの発表イベント。「フォーブス」のスタッフライター、アーロン・ティリー氏は発表会に参加後、デモ端末で操作感をチェック。さらに、会場内でアプリ業界関係者らを直撃取材した。

 アップルウォッチだからこそ実現できる、新たなアプリの楽しみ方についてリポートしている。


 今回のアップルウォッチの発表イベントの内容は、ほぼ以前から予測された通りのものだった。特に衝撃的な発表があった訳ではない。しかし、デモエリアで実際に製品にふれてみた結果実感したのは、この製品がいかに我々の暮らしを進化させる可能性に満ちているかということだった。

 クパチーノの巨大テック企業が5年ぶりに世に問う全く新しい製品、アップルウォッチ。iPhoneの付属品的な位置づけであるアップルウォッチは、それ自体が必須の製品という訳ではない。
ただし、この製品は従来のiPhoneユーザーたちに、全く新しい体験をもたらす。iPhoneの画面を埋める多くのアプリが、いずれはアップルウォッチのアプリに取って代わることは容易に想像がつく。

 私のiPhoneには毎回、起動させるのが煩わしく感じる、単純なアプリがいくつもある。例をあげると、私はスマホのアプリで操作可能なLED電球、LIFXを自宅で愛用しているが、電球を点けたり消したりする度にアプリを探し、それを開くのは面倒なものだ。そんな悩みを解決してくれるのがアップルウォッチのアプリになりそうだ。

 ウォッチでアプリを探す動作は極めてシンプルだ。本体右側のデジタルクラウンをプッシュすればアプリのホームページが起動する。個々のアプリは小さな泡のように画面に表示されるが、スワイプするだけでその詳細がグランス機能で表示される。

 「スターウッドホテル」グループはアップルウォッチの発売と同時に、自社のアプリをウォッチに対応させると発表した。既にリリース済みのiPhone版のアプリは、キーを用いずにホテルの部屋への出入りを可能にしている。

 しかし、新たに登場するアップルウォッチ版を用いれば、いちいちスマホをポケットから取り出す必要もなく、時計をドアにあてるだけで部屋への出入りが可能になる。

 スターウッドの上級副社長、クリス・ホールデン氏によると「今回のアップルウォッチ版アプリで、ホテルまでの道案内や、ルームナンバーなど、予約の詳細情報の表示も可能になる」という。

 ウーバーでの配車予約もシンプルな操作で行える。地図はもちろんドライバーのプロフィールや写真まで、腕の上で確認できるのだ。スマホが必要になるのは支払情報や自分のパーソナルデータを更新する時だけになる。

 これまでiPhone向けにアプリを作ってきた開発者らは今後、小さなスクリーン向けに、従来のアプリをいかに適用させるかが要求されるだろう。アップルウォッチ向けには、あまり多くの機能をつめこまないほうがいいだろう。

 インスタグラムのアップルウォッチ版はごくシンプルな操作性を実現している。特定のユーザーからの通知の受け取りや、画面をスクロールすればLikeボタンを押すこともできる。ただし、ユーザーにあまり多くのことをやらせようとはしていないようだ。
イベントの後、同社の担当者に話を聞いたところ、「我々のゴールはiPhoneアプリに取って代わるものを作ることではない。ちょっとした空き時間を埋める、出先での軽いニーズに応えるものができればいい」との話が聞けた。

 アップルウォッチの機能は多彩だ。心拍数を測り、体の動きを検知し、ユーザーがアクティブでいることを促す、フィットネストラッカーとしての利点も大きい。
しかしながら、iPhoneの雑多なアプリと連動し、その機能を発揮するアップルウォッチは、iPhoneのヘビーユーザーらが、従来より時間を節約しつつ、その機能を楽しむ手助けになりそうだ。

 現状の全てのアプリがアップルウォッチ向けに改造される訳ではないだろう。しかし、時間が経つうちに、開発者らは何が腕時計の中でベストなアプリになるかを見出すだろう。iPhoneには存在しなかった、全く新しいタイプのアプリが、ウォッチのプラットフォームから生み出されていくに違いない。

 アップルウォッチが一般入手可能になるのは、早くても4月24日。しかし、本日にも行われるiOS 8.2へのアップデートと同時に、ウォッチ向けのアプリは公開され、テスト端末にそれをダウンロードしてみることも可能になる。

 アップルウォッチには3つの製品ラインが用意されている。スポーツ(Sport)、レギュラーエディション(Regular)、さらにエディション(Apple Watch Edition)の3タイプ。
価格のほうは349ドルのスポーツから、1万7千ドルもするゴールドエディション(18金を使用)といった具合に幅広い。

YouTube上ではアップルが公開した公式プロモ動画「Apple Watch - The Watch Reimagined」も公開中だ。


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文=アーロン・ティリー(Forbes)/翻訳編集=上田裕資

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