「オマハの賢人」は20年近く前から、米国の低所得層に住宅所有の夢を売ってきた。クレイトン・ホームズは、自社が運営する金融機関のローンを利用するよう顧客に促し、それによって利益を上げてきたのだ。
クレイトンの融資ポートフォリオはおよそ137億ドル(約1兆5300億円)。同社顧客の多くを占めるのは、マイノリティーの人々だ。
知っておくべきこと
クレイトンはトレーラーハウスの購入ローンを扱う金融業者、21stモーゲージ・コーポレーションとバンダービルト・モーゲージの2社を運営する。両社を合わせたトレーラーハウス購入者向けの融資額は国内の金融機関の中で最も多く、金額は他社合計の7倍に上る。
米ビジネスニュース・サイトのカルチャー・バンクスによれば、2015年にローンを組んでトレーラーハウスを購入した黒人消費者のうち、72%は2社のいずれかから融資を受けていたという(連邦政府のデータに基づく)。
利益率が高いトレーラーハウス市場で、クレイトンは49%のシェアを握る。同社の2017年の売上高は、約7億6500万ドルだった。
トレーラーハウスは一般的に、不動産ではなく個人の所有物に分類される。そのため、購入にあたっての借り入れは自動車と同じように扱われる。金利は13.5%を超える場合もあるが、一方でトレーラーハウスの価値は自動車と同様、購入から3年間でほぼ半減する。これでは所有者がその後、トレーラーハウスを元手に一般的な住宅を購入することは難しい。
利用者が陥る負の連鎖
ローンを組んでトレーラーハウスを購入した人たちは大抵、設置するための土地を借りることになる。そして、その多くが業界の慣行によって、借金の連鎖に陥ることになる。
トレーラーパーク(トレーラーハウス・パーク)は気候の温暖なミシシッピ州やアラバマ州などに集中している。設置スペースを借りるための料金は、全米平均で月額およそ250ドル。だが、場所によっては同600ドルにもなる。
トレーラーハウスを所有するのは高齢者ばかりだろうと考えるなら、それは間違いだ。利用している人の23%が18~29歳だ。そして、彼らの世帯収入は平均およそ2万8400ドル。一方、ダブルワイドのトレーラーハウスの販売価格は2015年、平均(中古を除く)約11万ドルだった。
利用者が協力してトレーラーパークの土地の売却を阻止しようとしているケースもある。開発業者が土地を取得すれば、利用料が引き上げられる可能性があるからだ。利用者たちが資金をプールし、施設を購入することができたとすれば、協同組合を組織するなどして自ら運営することも可能になるのかもしれない。