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NASA images / shutterstock.com

火星にメタンガスがほとんど存在しないという新たな論文が発表され、その意味についての議論が今後も続きそうだ。

欧州宇宙機関(ESA)の火星探査ミッション「エクソマーズ」が探査機トレース・ガス・オービター(TGO)を使って収集したデータを基にした、初めての論文を科学誌「ネイチャー」で発表した。これまでの論文に反して火星にはメタンガスがないとしている。

「我々は緻密な分析によりメタンガスを探したが、火星規模で存在するとはいえないような量しか検出できなかった」と、TGOで大気関連の機器を担当するロシア宇宙科学研究所所属のOleg Korablevは声明で述べた。

火星のメタンガスはESAの火星探査機「マーズ・エクスプレス」やNASAの火星探査機「キュリオシティ」、そして地球上の数々の望遠鏡によって観察されていた。しかし、その量については幅がある。

微量ガスは通常、大気の1%以下でppbv(体積比10億分の1)という単位で表す。メタンガスは地球では約1800ppbvで、大気中にある10億個の分子のうち1800個がメタンガスだという意味だ。

火星のメタンガスを2014年に検出したマーズ・エクスプレスは10ppbv、地上の望遠鏡はゼロから45 ppbvを観察している。2012年から火星を探査しているキュリオシティは0.2~0.7ppbvを検出した。数字は季節によって差があり、跳ね上がることもある。

火星規模で最も詳細な分析を行ったTGOの検出量は0.05ppbvで、他の検出値の10分の1から100分の1だ。つまりこれまでの検出結果が間違っていたか、メタンガスが何らかの理由で消えてしまったということになる。

「TGOの高精度の検出結果はこれまでの検出値と食い違っている。これまでの検出値から急激に減少した理由を説明するために、我々は火星の地表付近でメタンガスが消滅した原因を見つけなくてはならない」とKorablevは述べている。

火星のメタンガスが注目されているのは、地球ではメタンガスの大部分が生体内の作用によって生み出されているからだ。つまりメタンガスが存在するなら、生命も存在している可能性が高いと考えられている。

「火星のメタンガスの存在や発生の原因が大きな論争となっている。メタンガスがどこに行き、どれだけ急速に消えているのかを突きとめるのは非常に興味深い課題だ」とTGOの科学者のHåkan Svedhemは述べた。

「TGOを火星に送り込み、最高の機器を使ってその大気を分析し、地質学的・生物学的に火星がどれだけ活発であるかを理解しようとしている」

編集=上田裕資

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