サンフランシスコ本拠のスタートアップ「Returnly」は、この課題の解決に乗り出した。同社は返品を決めたら、即座にその金額を補填するサービスを提供する。Returnlyは最大で購入金額の85%を、即座に払い戻す。しかも、返品したいアイテムを送り返す前に、返金が受け取れるのだ。
Returnlyは4月17日、1900万ドル(約21億円)の資金を調達したとアナウンスした。今回のシリーズB資金調達はベンチャーキャピタルのCraft Venturesが主導し、ペイパルの共同創業者でフィンテック企業「Affirm」を運営するマックス・レブチンも出資に参加した。
Returnlyの累計資金調達額は3000万ドルに達した。2016年に創業の同社は、シューズの直販を行うRothy’sや、シャツに特化したUntuckit、スポーツ関連グッズのFanaticsなど、数千のEコマース業者と提携を結んでいる。
Returnlyが返金の際に用いるのは現金ではなく、その店のポイントで、返金を受け取った顧客が同じ店で別のアイテムを購入することを促進する。これまでのデータでは、顧客の90%が返品するアイテムを発送する前に、別のアイテムを購入している。Returnlyの利用者は、当初より23%多い金額を支払う傾向があるという。
「顧客と店舗の双方にとってメリットなるサービスにしたいと思った」とReturnlyの創業者でCEOのEduardo Vilarは話す。彼はStubHubの創業者で、Craft VenturesのパートナーのJeff Fluhrと共に事業を運営している。
調査企業eMarketerは米国のEコマース市場の売上が今年、6000億ドルを突破すると予測する。Returnlyの出資元のAffirmや、Klarnaらは消費者が手軽に利用できるローンを提供し、Eコマース業者らの売上を高めようとしている。
一方でオンラインでの買い物は、リアル店舗に比べて返品率が高いことで知られている。2017年には年間で1000億ドル相当のアイテムが返品されたというデータもある。Returnlyはこれらの返品アイテムを収益に結びつけようとしている。
同社は過去3年で総額2億ドル近いアイテムの返金処理を行った。Returnlyは返金額の一部を手数料として徴収し、Eコマース業者からも年間の契約料を得ている。
ReturnlyはEコマース業者のネットワークから得たデータで、利用者のリスク査定を行っている。「当社のビジネスはネットワーク効果によって成り立っている」とVilarは話した。