ビジネス

2019.04.20 08:00

「オリジナル至上主義」で爆進するネットフリックスCEOの決意

ネットフリックス、リード・ヘイスティングスCEO(Photo by Ore Huiying/Getty Images for Netflix)

ネットフリックス、リード・ヘイスティングスCEO(Photo by Ore Huiying/Getty Images for Netflix)

ネットフリックスCEOのリード・ヘイスティングスは、ディズニーやアップルが動画ストリーミング市場に乗り込んできても、同社の優位性は揺らがないと確信している。

「競合の参入が、当社の業績に多大な影響を及ぼすとは考えていない。今も膨大な数のユーザーらが、テレビを離れ、オンデマンド動画の視聴に移行している。そのトレンドの中で、当社のコンテンツは差別化を果たしている」と、ヘイスティングは先日の決算発表の投資家向け書簡で述べた。

ネットフリックスが4月16日発表の第1四半期決算(1〜3月期)では、「四半期ベースで過去最高」とされる約960万人の会員数の増加が報告された。新規加入者の大部分が米国外の利用者で、786万人に達していた。ネットフリックスのグローバル会員数は、1億4886万人に達した。

売上高は前年同期比22%増の45億2099万ドル(約5064億円)だった。今回の決算発表のタイミングは、ディズニーが「Disney+」の立ち上げを宣言した一週間後だった。Disney+は米国では11月12日に始動する。

ヘイスティングは消費者のテレビ離れが進み、オンデマンド型の視聴に切り替える中で、この分野の企業の全てが追い風を受けると述べた。優れた映画作品や動画コンテンツへの需要は、ますます高まると彼は指摘した。

ヘイスティングによると、この分野には巨大な成長余地が残されている。動画ストリーミング市場が最も成熟した米国においても、ネットフリックスが全ての米国人のテレビ利用時間に占める割合は、約10%程度だという。

競争が激化する中でも、ネットフリックスのオリジナル作品のクオリティが武器になるとヘイスティングは述べた。その一例として彼が挙げたのが、スーパーヒーロードラマの「アンブレラ・アカデミー」だ。2月に放映が始まったこの作品は、最初の1カ月で4500万世帯に視聴された。

ネットフリックスは世界各地の視聴者を魅了するため、コンテンツのローカライズも行っている。お菓子作りを題材としたリアリティ番組「パーフェクト・スイーツ(Nailed It!)」の場合、メキシコやフランス、ドイツ、スペインの現地バージョンを製作し、各国に視聴者を呼び込もうとした。その結果、メキシコにおいては現地語版が、字幕付きの米国版の3倍の速さで視聴者を獲得した。

また、今年1月に配信を開始した韓国のゾンビ作品「キングダム」も大ヒットとなった。「この作品のシーズン1は、当社にとって最も成功した韓国語のシリーズとなり、世界中のオーディエンスを魅了した」とヘイスティングは述べた。

ネットフリックスのチーフコンテンツ・オフィサー(CCO)のテッド・サランドスは「人気ランキングの上位10作品は全て、オリジナルタイトルだ」と述べている。「今後はさらにオリジナル作品に注力し、世界の人々にネットフリックスだけで楽しめるストーリーを届けていきたい」と彼は話した。

編集=上田裕資

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