サムスンに悪夢再来、折りたたみ式端末が相次ぎ「壊れる」

Photo by Justin Sullivan/Getty Images

サムスンの折りたたみ式端末「Galaxy Fold」のデモ機を使用中の複数のジャーナリストが、「ディスプレイが破損した」と報告している。

ニュースサイトThe Vergeの記者は、ディスプレイの中央の下に膨らみが出来たと述べ、その後スクリーンに筋が出来たという。また、CNBCの記者はスクリーンを開いたデバイスの左半分が、真っ白になった様子をツイッターに投稿した。

さらに、本来は剥がすべきでないディスプレイの保護シートを、誤って剥がした結果、画面が破損したと報告した記者も複数存在する。不具合の発生頻度の高さから考えて、このまま正式発売に踏み切れば、サムスンは返品の山に直面することになるだろう。

サムスンは画面の破損の原因がどこにあるかを完全に把握するまで、発売を遅らせる必要がある。同社はかつてNote 7の発火問題により300万台のリコールに直面し、2017年1月時点での損失額は50億ドル(約5600億円)と推定された。

今回の事件は他の折りたたみ式端末のメーカーにとっても気になるニュースだが、競合のファーウェイにとっては同社の製品のクオリティをアピールする機会になるかもしれない。しかし、ファーウェイの端末はサムスンとは逆の、外側に画面を折りたたむ仕様で、サムスンよりも画面の耐久性に難がある可能性もある。

現在流通するスマホの大半は、画面を保護するためにディスプレイの表面を強化ガラスで覆っている。しかし、折りたたみ式の画面には強化ガラスが使用できないため、プラスチックを用いている。スマホの画面の強度には「モース硬度」という指標が用いられており、強化ガラスの強度はレベル6から7とされている。

一方、プラスチックの強度はレベル3程度であり、折りたたみ式端末のディスプレイは通常のスマホに比べ、3倍から5倍、傷がつきやすい。

サムスンは画面を守るため、ディスプレイを内側に折りたたむ仕様にした。しかし、ファーウェイの場合は外側にディスプレイを折りたたむ仕様だ。仮にファーウェイのディスプレイの強度が十分でないとしたら、サムスン以上の問題に直面することになる。

ファーウェイはサムスンの苦境にほくそ笑んでいるかもしれないが、彼らのデバイスも深刻な問題に直面する可能性がある。折りたたみ式スマホはまだ未完成なプロダクトであり、縮小するスマホ市場を救うことにはならないのかもしれない。

世界のスマホ市場は2019年も縮小が続き、その状況は2020年まで継続することも予想できる。仮にファーウェイが同様の問題に直面しなくても、サムスンの収益性は低下しており、早期の回復は見込めない状況だ。スマホ市場の苦境は、今後も続きそうだ。

編集=上田裕資

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